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zoom RSS リターントゥ神々の宴(23)

<<   作成日時 : 2006/11/11 21:16   >>

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 高速道路上にいくつも火があがる。火の一つに一つの命が、あるいは家族がいただろう。
魔法が弱くなるということは、こういうことか。あるいはもっと上手いやり方があるのではないか。犠牲などないような、そんなやり方が。

義手が幻の痛みを生み出す。ゆかりと一緒に死んだ腕を思い出した。
英太郎は表情を殺すと、今は目の前の戦いに集中することにした。

見れば壬生谷志功が長大な呪文を唱え始めていた。周囲2kmを炎熱で消滅させるような、そんな技だった。

英太郎は短い呪を唱えて走り出した。
人智を超える速度。そして跳んだ、飛んだ。

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一方その頃。

「我々よりひどい者たちもいるな」

気を失った、相田翔だったものを優しく抱きしめて、千葉昇は言った。
その瞳にはどんな感情も映してはいないが、滅茶苦茶に腹を立てていたのは、間違いなさそうだった。

その前方で何も答えず、障壁を消滅させた金髪の黒服がいた。名前を、ロイ・バウマンという。
黄金というほかない金髪の、セプテントリオンらしからぬ、表情豊かな男だった。顔をぐちゃぐちゃにして拳で涙を拭き、音もなく口の形だけで短く呪い怒りの声をあげて、そして走りだした。遠い未来の、誰かのように。

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 一方その頃、走るロイの前方では、火車が、暴走を続けていた。
それは牛頭の神が乗る、首のない16頭の牛が引く車であった。それは死後に屋根の上を伝って現れ、葬式中の棺の蓋をあけて死者の魂を奪って地獄へ運ぶ使者である
地獄、という言葉から分かるとおり、もとは因果応報を帰結させるための存在だった。

牛に労苦を与えたり喰ったりした者に裁きを与えるその神は、現代に蘇り、正しく活動をはじめている。

 現代において牛を食べない人間というものも、少ない。
火車はほとんど全部の人々を地獄の炎で焼いて罰しながら、前進を続けていた。

速度は、時速換算すると250kmを超える。

アスファルトが、熱で溶けて形を変える。長く伸びる二条の轍。
鬣が揺れ、牛頭は紫色の舌を伸ばして燃える長い鞭で車を叩き潰しながら進んだ。

「我妹子が額に生ふる双六の」

呪文の詠唱を開始するロイ。たたきつけるように手を置いた地面が割れ、高速道路が火車を追うように崩れ始める。

牛頭の神は背を振り向いて速度をあげる。

牛頭の神に近づく英太郎の速度は時速100km。彼我の相対速度差は500kmに近づいていく。

(時代は変わる。事象の彼方に去れ)勝負がつくその直前、英太郎は神に念話を飛ばした。
(否、我は正しく裁く者なり)

神の返事に英太郎は嘆息した。周囲に絶大な被害を与える志功の呪文を完成させる前に勝負をつけることにする。

「夏まけて咲きたるはねずひさかたの」

英太郎が唱えるとにわかに風雨が激しくなり、そして、英太郎は銀の義手から剣を出現させた。

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