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zoom RSS リターントゥ神々の宴(21)

<<   作成日時 : 2006/11/07 23:57   >>

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その日、妙に首都高速道路は空いていた。大型連休の前日夜にもかかわらず、である。

それが火車との戦いの、第2幕のはじまりであった。

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 長い長い術式が記述された巻物が、八帖、高架道路一面に広げられている。
それは夜の闇でも淡く輝き、多くの車を除けていた。
運転手は知らぬ間にハンドルを切り、高速道路を通らずに下の道を通っている。”除け”、とはそう言う、術式であった。

 魔除け、虫除け、種類にかかわらず、除けの術の本質は自発的に少しだけ反らす事を意味する。別段相手を害するわけでもなんでもない、本来は共生のための術だった。

 それでも高速道路を疾駆する車はないわけではない。
これらは皆、術にかからずに車を走らせるものはこのところに多い、魔術がきかない、あるいは見えない者たちが運転する車だった。

「共生しようと言う心もないか、不信心ものめ」
壬生谷志功は心の底から侮蔑したように前を通る車につぶやくと、表情を消して顔をあげた。

それでも、車は目に見えて減っている。

「身に魔力をまったく持たぬのだ、仕方あるまいよ」
長い時間の後で英太郎はそう返事した。空を見上げる。空には月もなく雨が降り始めていた。
全く魔力を持たないのは業界でも知らぬ者のない大魔術師である英太郎の息子や孫の片方である光太郎もそうである。それが時代の流れだと英太郎は思いながら、彼はまた何かを言おうとして、やめた。

信心がないからといって共生、共に生きることが出来るわけではない。
実際、もっとも魔術的な存在であるブルーブラッドと光太郎は、共に支えあって生きようとしていた。まったく魔術師的ではないと思いながら、英太郎は微笑む。

思えば僕は火星人とも幻獣とも共生出来た。

前日、ふみこが火車、疾走する燃えた車輪のような荒ぶる神と戦った時は魔術で封じるだけではなく、同時に公的権力も動員していたが、今回はそうではない。
わざと穴を開けていた。

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爆発は突然始まった。

遠くから電気の明かりが次々と消え始める。
玖珂英太郎と壬生谷志向は身を守る防御結界を無詠唱で自動展開。
目に見えない結界が雨をはじくことではじめて球体のその姿を現した。

遥か遠く、2km先から次々と爆発が発生する。乗用車が暴走する火車にぶつかり、炎上する炎だった。

「いい目印となるな」

志向は言った。直後に長い長い呪文を唱え始める。
英太郎と志向はふみこの敗北を、相手の移動速度の速さのせいだと判断した。ふみこが魔力をけちったことがあるにせよ、火車の速度が速すぎて大きな攻撃呪文の詠唱が間に合わなかったのである。

ならば、大惨事にならぬ程度の損害で障害物を作り、火車の移動速度を殺し、あるいは遠くからくる目印にして詠唱のタイミングをあわせてしまえば。

志向はそう計算して呪文を唱える。

(この国に、悪しき神はいらぬ。神を認めぬ人も)

志向の口が、はじめて笑った。

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