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zoom RSS リターントゥ神々の宴(16)

<<   作成日時 : 2006/10/10 23:57   >>

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 一方その頃。
晋太郎は相田みなおと共に小学校に向かっていた。
「……ご、ごめんね。玖珂くんまでつき合わせて」
「いや、僕はただ、弟の顔を見たいだけだから」
 本音過ぎて冗談にしか聞こえない言葉を言う晋太郎。
この人物、元はさほど弟を可愛がっていたわけではない。というか普通くらいに弟を可愛がっていたのだが、そのうちに父と弟の不仲で弟側に立つうちにどうしようもないくらい弟が可愛くなり、ついでに自分の残り寿命が少なくなった時点で、自分を覚えていてもらおうと思い始めてから、こんな感じになっている。

生前の玖珂晋太郎をさして愛の人という人もいるが、これは結果だけの話である。それが正しいかどうかは、本人にも分からぬ。

 みなおは冗談に聞こえたそれを、嬉しそうに笑って流した。どうあれ引っ込み思案の自分が玖珂くんと話せる機会は滅多にあったものではなく、だから彼女は、妹の心配をしながらこのことを喜んでもいた。

「でも、家族旅行は中止かな」妹を思って笑みが弱いみなお。
「僕が妹さんならどうしても行きたいって言うかもしれないね」晋太郎は良く分かっている。
「そう……そうだよね」下を見るみなお。
「でも僕が兄なら、絶対に行かせない」優しく言う晋太郎。
「そ、そうだよね……あ、あの、結局どっち?」
聞き返すみなおに、早足で歩く晋太郎は優しく笑った。
「妹さんのおでこに顔つけて、調子を見てから決めればいいと思うよ」
そして目を細めた。

「ごめん、ちょっと忘れ物してきた。先に行って」
「あ、う、うん……」

みなおは周囲を見回した。晋太郎の姿は、どこにもなかった。

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100m先の二つ角を曲がった先では、大股で歩く兄妹がいる。
妹のほうは大股ではなく、小走りだった。足が短いというよりも、あんまり大股に歩くのが、恥ずかしいらしかった。

「お兄ちゃん、待って、待ってよ。せめて手を繋いで」
 千葉奈穂が息を切らせてそう言うと、その兄、昇は無意識に手を差し出そうとして、我に返った。もう中学生なんだから手を引くというのは……実にやりたかったが、昇は我慢した。
手を差し出さず、足をとめた。妹を見た。

「ついて来なくていいんだよ。奈穂。塾、行くんだろ」
「でもお兄ちゃんが遠くに行きそうだったから」
「東京市に出るくらいだからね……」

 昇は、いつまでたっても兄離れしない妹に笑って見せた後、顔をこわばらせた。
即座に動いて妹をそれから遮った。どんくさい奈穂は、鼻をぶつけた。

晋太郎だった。
ブレザー姿の昇と、学ラン姿の晋太郎は、3mの距離で初めて向かい合うことになる。

「千葉昇くん、だね」晋太郎は、優しく言った。
「玖珂晋太郎か……」昇は静かに言った。
「なに、お兄ちゃんの友達?」 奈穂は、うわわ、格好いい人だぁと、晋太郎に感動した。ちょっと線が細いけど。

足を同時に踏み出す二人。耳があたるほど顔がすれ違う。
「戦うのはやめたほうがいいよ。僕は妹さんを最初に狙う」晋太郎は小声で言った。
「我々より悪いようだね。君」昇は、ひどく上機嫌に言った。奈穂の見ていないところで殺してやると思った。
晋太郎は自分がやられたら一番嫌なことを言っただけである。ただ微笑んで、口を開いた。
「世界の理を良く分かっているだけさ。ラスタロロスの幕下の者よ。なぜここに来た」
「答える必要を認めない。だがあえて言えば、調査だ。協定を破るつもりはない」
「そうであることを祈るよ。妹さんは家に帰してあげたほうがいい」
「そうさせてもらおう」

 二人はすれ違った。軽く挨拶して、去っていく晋太郎。

奈穂は首をかしげ、あれ、友達じゃなかったの?お兄ちゃんと言った後、兄を追ってまた小走りになった。

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