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zoom RSS リターントゥ神々の宴(13)

<<   作成日時 : 2006/10/02 18:22   >>

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 兄と別れ、元気に光太郎は校舎に入り、教室に入り、そして席に座りもせずにかばんをほうり出すと上機嫌で友達を探して話しかけようとした。

大きな音。

教室に入って来た、相田翔だった。光太郎は振り向いて笑って見せた。
翔、顔をそむける。

「はん、兄貴なんかと学校来て、恥ずかしい」
翔は大声でそう言うと、そっぽを向いて席に座った。自分が姉と来たことは、棚に上げている。

この日、光太郎は翔に謝って月子にあわせようと思っていたのだが、この事に腹を立てて、自分も黙って席に座り、そっぽを向いた。席は隣同士であった。


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 一方その頃。同時刻。
大久保の病院では紋付袴に春物の帽子という格好の英太郎が、土産をもって見舞いに来ていた。
「どうじゃ、調子は」
その言葉を聞いた瞬間、病院の個室にて読書中のふみこは嫌な顔をした。
体のあちこちを包帯に巻かれている。

「最悪というところね」
面白くなさそうにあっちを見るふみこ。英太郎は音もなく微笑むと、執事に土産のスイカカレーを渡した。微妙な顔をする執事に、ハヤシヨーグルトが良かったかなと思う英太郎。
意識をすぐにふみこに向ける。

ふみこは、不機嫌になった。本を畳んで口を開く。
「笑いに来たのかしら、それとも、説教をしに?」
「どちらでもない。見舞いじゃよ」
英太郎が静かに言うと、ふみこは大きく口を開けて言った。
「ありがとう」
「ことさら大声で言わんでもいいぞ」
笑う英太郎。
「嫌味もわからないなんて」
そっぽ向くふみこ。
「いや、判って言っている」

ふみこ、眼鏡をはずしてぶつぶつ言う。拗ねていた。年齢はふみこのほうがずっと上なのだが、どういう秘術か若返りの魔法のせいでふみこのほうが英太郎より若く、術の影響か、ふみこの精神もまた、若かった。
「不覚だわ。こんなところに、まだあれだけの魔力を持つものが残っていたなんて」

優しく笑って丸椅子に座る英太郎。
「もう東京市内では大規模魔法を使えるだけの魔力はないと思ってたんじゃがな」
「違うわ」短く、ふみこ。
「なに?」英太郎が顔を向けると、ふみこは綺麗な瞳で英太郎を見て言った。
「大規模魔法じゃない。神々よ。炎の車輪の形をしていた」
「女は乗っていたかね?」
「いいえ。速かったけど、見えなかった」
英太郎は即座に神を特定した。
「火車じゃな。江戸の頃には、たくさんいたものじゃが」

ふみこはじっと英太郎を見ている。英太郎がん?と言うと、ふみこは口を開いて疑念を言った。
「神々が動けるぐらいの魔力がまだどこかにあって、それを貴方は探すつもりなの?」
微笑む英太郎。たしかに、魔術師なら考えそうなことだった。だが……
「いや、魔力などには興味はないな。魔力が使えたからと言って……それで我々は戦争に勝てたかね?」
「もっと魔力があれば勝ったかもしれないわ」
ふみこがそう言うと、英太郎は笑った。寂しい笑いだった。
「さすがドイツさんは違うな。日本人はそう考えなんだ。わしも、そうは考えておらん。魔法は万能でも、強いというほどでもない。病に倒れた孫も助けられん。その程度のものじゃ」

英太郎は晋太郎を思った後、席を立ってふみこに言った。
「中尉。期待をするな。もう100年以上も我々は探してきた。何度も同じ結論を出してきた。魔法はなくなるよ。我々魔術師も、神々も滅ぶ。滅びを先延ばしにするには魔法を使わず、冬眠するしかない」

 ふみこは英太郎を見返した。鋭すぎる眼で。
「ではなんでヒグルマが?」
「……さてな。だがまあ」

微笑む英太郎。口を開く。
「調査はしてみる。養生するんじゃな」
英太郎は、歩き出す。
その背に向かってふみこは言った。
「さっさと病院抜け出して再生魔法使うわ。復讐は自分でやります」
英太郎は何も言わず、歩いていった。

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