電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS リターントゥ神々の宴(11)

<<   作成日時 : 2006/09/14 18:28   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 その日、月子が目を覚ますと、光太郎がニコニコ笑っていた。おはよーと言う。
即座に目が醒め、顔を赤くして月子は毛布で身を隠した。
この方面では、月子のほうが光太郎よりもずっと大人だった。正確には大人になったと言って良い。
数日で光太郎が変わったように、月子も変わっていた。強く光太郎を意識するようになった。彼女が最初に覚えた日本語は光太郎とその愛称、コウである。
彼女は背が届かなかったり降りるのが怖い急な石段ではコウ、コウと小鳥のような声で光太郎を呼んだ。

月子の行動に不思議そうに首を傾げる光太郎。
月子もあわせて首を傾げた。月子としては、恥じらいがない光太郎のほうが不思議である。

 光太郎は、深く考えなかった。
もとより複雑でもなんでもない。背伸びしたりそれをやめたりを繰り返し、リズムを取って元気に歌を歌った。
歌ったのは、日曜朝にやっている子供向けの番組である。多くの作品で脚本を祖父、英太郎がやっていることもあり、光太郎は好んでこの枠の番組を見ていた。

”山梨 茨城 北海道”
”沖縄 青森 大熊本”
”頂天武勇 レムリーア!!”

 月子が光太郎の子供っぽさに思わずちょっと笑ってしまうと、光太郎は笑って手を伸ばした。月子が毛布から手を出して光太郎の手を取ると、光太郎は本当に嬉しそうに手を取って走りはじめた。

 寝巻きのままに気づいて顔を赤らめる月子。
光太郎はそんなことは全然気にしない。そのまま全力で遊びに行った。

 長孫のジャージを着た英太郎はその頃、豆腐とアゲの味噌汁を作っていたが、台所の窓から外を走る二人を見ると、やれやれと火をとめ、二人の靴を玄関でつまんで追いかけた。二人は裸足だった。そういうことも忘れるのが光太郎である。

 月子が遅れだすと、光太郎は月子を抱いて走り始めた。真っ赤の月子。長い髪が風に流される。
どうでもいいがこれまでの全行動は、晋太郎が光太郎に一度はやった行動ばかりである。

 光太郎は早朝だと公園のブランコが使い放題なことを知っていた。
裏に住むじいさんは怒りっぽいが、朝から遊んでいる光太郎を見ると、偉いと大声で言って引っ込むのが常だったから、光太郎はこのじいさんもひっくるめてこの時間の公園が大好きだった。

 ブランコを、空に飛ぶ勢いで漕ぐ光太郎。

月子、幸せそう。光太郎の傍でだけは、血を吸いたいとも思わなかった。それ以外の何かで体が満たされるからだ。

/*/

 一方その頃、公園で隠れる少女っぽいのが一人いた。ベリーショートの髪の相田翔である。昨日の喧嘩で翔は、一晩悩んだあげく、光太郎に悪いことしたと思っていたのである。

喧嘩自体は、今まで結構あった。そういう時は悪いと思ったほうがあやまって、それで元通りになるはずだった。明日一番早いあやまるタイミングは公園だ。だから翔は家族旅行の準備もそっちのけで早く寝て、公園にやってきていた。

月子、幸せそう。

見知らぬ女を見た瞬間、翔は全力で隠れていた。
耳をふさいで、しゃがみこむ。嬉しそうに笑う光太郎の声に耐え、何もかも良く分からなくなって走って逃げた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
リターントゥ神々の宴(11) 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる