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zoom RSS リターントゥ神々の宴(2)

<<   作成日時 : 2006/08/23 01:03   >>

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 英太郎は腕を組んだまま、貧しい村の中心部に着地した。
次の瞬間には元は人間と同種とは思えないほどの恐るべき速さで暗がりが飛び出した、何人ものブルーブラッドが、棒と槍とで英太郎を刺し貫いた。

 否。

英太郎の涼しげな口元が少しだけ動いて、次の瞬間には囲んでいた全員が吹き飛ばされた。
まさに魔術としかいいようがない、ただの右手と左手の動きであった。

義手の左手をきりきりと鳴らし、起き上がった20人ほどを見る英太郎。
どれもが美しいブルーブラッド。それゆえの醜悪さを感じて遅れて着地したふみこは、顔をしかめた。

「魔力、使ってないのね」虚空に精霊回路を指で描きながら周囲を見るふみこ。
「そっちは苦手でね」孫が去年まで着ていた青いジャージを着た英太郎は静かに言った。
「大魔術師が、あきれた」思わず上を見るふみこ。
「そうでもない」冷静に言う、英太郎。

それが合図であったように、一斉にブルーブラッドが襲い掛かってきた。
中国僻地の農村にはいささか似合わぬロシア風の古びた衣装を着た男女は、異様なほど肌白く、そして常人離れした運動能力を持っていた。

 英太郎は左手で攻撃を受け流し、僅かな右足の動きだけで3人を倒した。ふみこへ向かう2人を組み伏せ、精霊回路完成までの4秒を稼いだ。

ふみこは虚空に燐光残る指先を躍らせ、精霊回路を完成させた。
にわかに湧き上がる風がふみこの髪と軍服めいたスカートをはためかせ、回路を通じて周囲1万ほどの精霊子達が励起した。
瓶底眼鏡に踊る炎が映りだす。

箒をくるくると廻し、背に構え、左手を唇に当てて音声命令を謡うふみこ。
英太郎はふみこに寄り添い、8人を倒した。

”スラド、スラド、炎の王、炎熱の国の領主、燃え盛るもの
全て焼く熱い心、火の友にして汝の同盟者である我は長い舌をもて原初に返す
焼き尽くせ 炎の舌”

音声命令が完成。巨大な炎の蛙がにわかに実体化して口を広げ、舌を伸ばした。
ブルーブラッドが面白いように長い舌に捕らわれ、燃えあがった。
たちこめる肉の焼ける臭いに微笑み、ふみこは護衛、ご苦労様と英太郎に言った。
英太郎は、何も言わない。ただ周囲を傍観している。

歩く松明となって走り、大地に転がり、ばたばたと倒れるブルーブラッド。殺すのに飽きたか炎の蛙は、どろりとした炎を滴らせながら、村の建物を焼き始める。

 英太郎の沈黙をどう思ったか、炎の村を歩きながらふみこは優しく言った。
「私の執事、やってみる? 一人じゃヘリを操縦させている時に護衛がないの」
「やめておこう、わしは、歳だ」
英太郎は静かに言う。炎の蛙が小さな子まで焼き尽くすのを見たが、それだけだった。
「今私に仕えている執事も、いい歳よ」
ふみこの言葉を無視し、こちらだと言う英太郎。見つけたそれは小さな聖堂だった。

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