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zoom RSS ガンパレードオーケストラ 青の章 永野記 承前1

<<   作成日時 : 2006/06/21 21:15   >>

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 海軍水路部ってところは、と、そこまで言いかけて、永野英太郎は黙った。自分が、馬鹿のように思えたからだった。

 目の前には海軍陸戦隊、すなわち海軍の陸軍であるところの海兵隊員が、どこが作ったか良く分からないウォードレス”インヴィンシブル”を着て動かぬ彫像のように座っている。

いや、動かぬ彫像の一つが、動き出して笑った。小隊を指揮する女性士官の山本だった。銀色の髪の毛をかきあげて、笑った。

「海軍水路部ってところは銃を持つのか? ね。そうね、銃を持たない人達もいるわ。所謂、表ってやつよ」
「それで僕達が裏なんですか」
その質問が聞いてはいけないものだとわかったのは永野が部隊を離れる前だった。
「そうね、半人前。我々は海兵隊の外部部隊、というわけ。質問はそれだけ? 分かったら、黙って休んでいたがいいわ」

永野が黙ったのはそう長くはない。
既にトイレパックが一杯になるんじゃないかと思うくらいには放尿しており、ついでに言えば黙っていればあふれるんじゃないかと、思っていたからだった。

「質問が」
「どうぞ」
山本は静かに目をつぶっていたが、あきらめて目を開いて、ついでに口を開いた。

「なんで裏なんか必要なんですか。敵は幻獣でしょう?奴らには裏も表も」
「建前だけでは上手く行かないから、かしらね」
山本の言葉に、意味が良く分からないながら頷く永野。
車載でもつかわれる12.7mm機関銃が、やけに重かった。
永野は弾薬と機関銃の運搬役をおおせつかっている。

「建前、ですか」
「それが家というものよ。さ、雑談終わり。大丈夫。トイレパックは早々簡単に満タンにはならないわよ」

永野は赤面した。山本は目をつぶりながら笑って。動かなくなる。
目をつぶっても絶対だめだと永野は思ったが、意外に早く意識が遠のいた。

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「おい、起きろ新入り」
 古参兵の若宮軍曹が永野の肩を揺らした。
は、はいっと、返事して立ち上がりそうになる永野、引き止められる。もう少しで天井にあたるところだった。

 狭い室内で、永野を除く全員が笑った。山本だけが音も立てず笑っていた。
赤面してあわててインナースーツのフードをかぶる永野。
若宮はウォードレス越しにも分かるほどばんばんと永野の肩を叩き、笑いながら口を開いた。
「気に入ったぞ、半人前。度胸だけは一人前だな。俺が大陸で戦っていた時だって、初陣前で寝れた新人はいなかった」
「つ、疲れていて」
永野が口走った言葉に、全員が声を出して笑った。今度は山本まで笑っていた。

「お前のラジオネームが決まったぞ」
「いや、僕のラジオネームはハーフマンじゃ」
「アイアンマンだ」若宮は上機嫌で言った。別の古参が突撃銃を握って言う。「アイアンハートって名前にしてやりたいが、悪いな。そいつは俺のラジオネームだ」
「あ、いや、アイアンマンでいいです」
「決まりだ。いいですよね。レディ」

レディとは山本のラジオネームである。山本はいいわよと言うと、降下戦闘用意のランプが点灯したことを確認した。

ヘルメットをかぶりながらしゃべる山本。
「よし、出撃用意。分隊は若宮にまかせる。この戦い、きっと生き残れるぞ。なぜならアイアンマンのような珍しい新人を引き当てたんだからな」
 隊が爆笑した。永野はヘルメットをかぶりながら、死にたいと思った。

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