世界の謎復活ボーナス ターニの帰還作戦(1)

NOTボーナスガンパレードオーケストラ白の章(33)の続きなります。

「僕はもう二度と豆腐なんか食べたくないよ」
 なぜかよれよれで戻ってきた小島航が言った第一声がそれであった。

航だ、航っ。と、それまで谷口のもみ上げを引っ張ったり背によじ登ったりしていた咲良が離れたことに安堵とも残念とも言えないの息を出しながら、谷口は咲良を追って玄関まで歩いた。

少々髪の乱れた王子、航の姿を見て驚く谷口。航の様子に構わず遊ぼうと言う咲良に後ろからチョップし、谷口は航を支えつつあわてて言った。

「ど、どうしたんだ航、お前豆腐好きだったじゃないか」
「ああ、昨日、いや今日の朝までは」ひどくけだるげな様子で、航は、言った。
「夕飯を食って元気になれ」 谷口の体力は大体これで回復する。その様を見てうつろに笑い、航は頭を振った。
「いや、いい。これ以上食べたら牛になる」
「良く分からんが食べたらその分身体を動かせばいいだろう」
「口から豆腐が出るって……」航そう答えると、谷口に最近物資不足で珍しくなった白いレジ袋を渡し、靴を脱いでよれよれと寝室へ向かっていった。

咲良、涙目で谷口を見た後、猛烈な勢いで文句を言い始める。アンタ何様攻撃と菅原が名づけた攻撃である。実際アンタ何様のつもりと、言う。

谷口、完全無視というか、二つのことは考えられず、心配そうな顔で航の後ろ姿を見た。
次にレジ袋の中を見る。

咲良は文句を言っていたが、ついつられて谷口に並んで袋の中を見た。

豆腐が一杯だった。

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 ターニ・キルドラゴンは焚き火に薪を投げ入れながら、微笑んだ。
左手で持った椀に入った白い塊を見て、豆腐を思い出だしたのである。

 椀に差してあった木のスプーンで、白い塊をすくって噛む。蟲のような味がした。
実際、蟲なのかも知れない。

 こんなものをあの人が食べていたらかわいそうだな。いや、そもそも食えないか。
急いで助けに行かなければなと、ターニは思う。

今、胡坐をかいた膝の上には女ではなくて剣が乗っている。

鞘もなにもない、裸の大剣だ。反りも、湾曲もない。帽子は鈍く、これじゃただの長い棒だと、ターニを苦笑させた。
作りが違うのか刃文はなく、ただ指を這わせれば、そこに淡く青い文字が浮かび上がった。

なんと書いてあるのかは、分からない。
ただ色が想い人の髪を思い出して、ターニは優しく笑うと今日も眠らずに歩こうと考えた。
まずはまあ、アーミーとハヅだ。奴らを家に帰してやろう。

 顔をあげ、椀料理を作って差し出したミーシャの視線に気づいて笑うのをやめる。
おびえるように、自分を見ていた。

ターニは目を伏せ、すまんと言って、ただ静かに白い塊を食った。

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