電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS BALLSボーナス 白いオーケストラ裏舞台(中)

<<   作成日時 : 2006/06/09 14:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

いひひひひ。
いひひひひひひひ。

 遠くにあがる岩崎の笑い声を聞きながら、その漢と女は、ゆるやかに歩いている。
今から舞台にあがるように。今から、踊るように。

漢に並ぶ女、ゆかりは、眼鏡を取りながら、つぶやいた。
「腹の立つ声ね。ラスボスになったつもりかしら」
女に並ぶ漢は、眼帯の上をかきながら言った。声だけは硬く、静かに。
「あー。どっかに生きているいい男、いねえかな。うほ、発見」

大股で歩き、ペンギンと歩く少年の肩を後ろから抱いた。
「よぉ。香川」眼帯の男は言う。真っ赤なレザーの服を着た、そんな男だ。世間一般では、この人物を赤鮭と言う。
「北海道さん」肩を抱かれた香川は眼鏡がずれないようにしながら言った。
「ずいぶんなところだな。ここは。人の命がゴミのようだ」
赤鮭は軽妙な言葉をひどく静かに言うと、香川の耳元で囁いた。
「そんなに沈んだ顔するな。綺麗な青い目が台無しだ」

そしてペンギンに流し目を送りながら、口を開いた。
「ペンギンの言ったことなんざ気にするな。香川優斗。お前はお前の好きなことをやればいいのさ。他人はどんなに偉そうなことを言ってもお前の責任をとってくれたりはしない。お前の責任はお前が取る。かわりに、好きにやれる。そこんとこ、間違えるなよ」

ペンギンは煙をふかしながら言った。
「そして忠告を無視して死ぬ。良くある話だ」
端正な横顔を見せ、目を伏せて言う赤鮭。
「例えどんなに愚かでも、たとえ死んでも、本人にとっちゃどうしようもない時はある。お前はどうなんだ、香川」
「とりあえずいやららしく胸をさわるのはやめてください」誰かに似てると思ったら機嫌悪い時の岩崎さんそっくりだと香川は思った。ため息一つ。
「おお、すまんな」全然すまなさそうに赤鮭は言うと、微笑んだ。手を離す。

そして言った。軽く、だが全てを試すように。
「どうする? ペンギンよりも海賊のほうが悲しみ海の航海を知っているかも知れない。少なくとも俺は逃げて来ちゃいない」
「僕は……」
香川は、言いよどんだ後でふと微笑んだ。
「僕は、いつもどおりやるだけです。僕は軍人じゃない。僕は警官じゃない。僕は裁判官じゃない。僕は、僕は、一言で言えば誰もが笑う、そんな仕事をやっている」
「そうか」赤鮭は珍しく素直に微笑んだ。
「じゃあいくか」ペンギンは帽子を被りなおして歩き出した。
「もう少し格好いい言い方考えたがいいわねっ」香川の背を叩いて歩き出すゆかり。

一人残り、背筋を伸ばし、歩き出す赤鮭。

「北海道さん、どこに?」
香川の声に、赤鮭は振り向かずに笑って言った。
「各個撃破、するんだろう? 片方は俺が時間かせいでやるよ。ま、急いで来い」

腰の艦剣を抜き、靴音も高く歩き出す赤鮭。
そして優しく微笑むと眼帯を外した。剣の握りを持ち変える。
変則的で我流の持ち方から、正統と正調の持ち方へ。僅かな時間で海賊から王子になり、リボンで己の髪を結わえ、二度軽く床を脚で叩き、そして赤鮭は走り出した。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
BALLSボーナス 白いオーケストラ裏舞台(中) 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる