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zoom RSS BALLSボーナス 白いオーケストラ裏舞台(前)

<<   作成日時 : 2006/06/08 18:57   >>

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 小島航が幻獣共生派に入ったのは、そう深い理由があったわけではない。
ただ納得出来なかっただけである。

 石田咲良が、死ぬということに。

妹のような存在だった。

だが所詮は数ヶ月の付き合い。
あるいは顔をそむけて怒る渡部の頭でも撫でていれば、それで悲しくはあっても何もかも忘れられたかも知れなかった。ゆっくりと、時間はかかっても。それでいつかは。

だが納得出来なかった。

小島航は納得できなかった。咲良の死を許すことなど、出来ようもない。石田咲良がペンギンのぬいぐるみを抱きしめて嬉しそうにしていた様を、小島航は良く覚えていた。

竜馬。

小島航は紅い目を輝かせてつぶやくと、また一人を、殺した。手を翻し、ひどく長い爪を振る。
胴体を切断され、派手に落ちる見慣れない傘のようなものを被ったウォードレス兵。ペンギンに見える装備の者もいる。岩崎か。岩崎だな。山口の復讐を全部竜馬にさせて、お前はそれで、満足なつもりか。また一人殺した。

納得できなかった。
はじめて本当に頼られる喜びと、それが離れていく強烈な寂しさ。親友ならばとそれは我慢した。何よりも咲良が、嬉しそうだったから。

だから納得できなかった。咲良が死ぬ運命を知って、それを受け入れていることも。谷口がそれを納得したことも。咲良を省みずに精勤をはじめたことも。

 足元でウォードレス兵が一人倒れている。逃げて逃げて最後に背中を突き刺された、そんな死に方だった。岩崎にあなたのことを好いている人は素敵な人が多いですよと言っていた、風間という名前の人物だった。

 ゆっくり歩く。そろそろ最後の勝負をつけよう、姿を見せるんだ岩崎君と、あの頃のように優しい言葉で言った。

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一方その頃。
 どこを見ても死体ばかりの通路を、ペンギンと香川は歩いている。
蛍光灯の白い明かりが、ひどく空虚に見えた。

帽子を被りなおし、歩きながら祈るように煙草を吸い始めるハードボイルドペンギン。
隣を行く香川の表情は厳しく、かけた眼鏡は反射がひどくて、表情を読めなかった。

「師匠」
香川は歩きながら言った。
胸元から取り出した年代物の拳銃を引き、初弾を薬室に送り込み、そして言った。
「……どうしようもありませんか」
「周囲を見ろ。あれはもう、死んでいる。本当に死ぬよりもずっと前に、な」

ペンギンは帽子の下から鋭い視線を見せて、言った。
「手加減をしようと思うな。相手はガードナーと竜だ」
香川は、何も答えない。ただ、銃身を額につけて祈った。

この悲しい、運命が終わることを。

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