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zoom RSS 緑のオーケストラ 原・ストライク エンディング

<<   作成日時 : 2006/05/31 19:01   >>

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 原は、立ったまま善行を見下ろした。その顔はどこか優しい。
善行は、口の中を自分の歯で切って血だらけにしながら、微笑んだ。

無理してそっぽ向く原。
殴って直るのはテレビでも無線機ではなかった。善行だった。

 なんというか、何もかもむちゃくちゃだが、これはこれで実はラブシーンである。
キスだけが、相手を想う表現ではない。

そっぽを向いたまま、口を開く原。

「立ちなさい。指揮をするのよ。貴方が望んだものじゃないけれど、才能があるんでしょう。奇跡みたいな確率で世界が授かったものよ、無駄にしないで」

 立ち上がろうと失敗し、自分の口の中の血におぼれかけて、それでも善行は優しく笑ってうなずいた。

表情なんかみなくても、原はそれくらい分っている。少なくとも何人かについては、そう言える自信があった。だから顔も見ずに口を開いた。
「以上、終わり。私、忙しいのよ。もういくわ」
振り返らずに歩き始めた。
ペンギンの姿はいつのまにか見えなくなっている。
逃げるつもりか、あの鳥類とつぶやき、大股で歩き始める。あのペンギンも殴って直さないといけない。原は善行殴って気づいた。あのペンギンもきっと、どこかで凹んで傷ついているわ。

まったく、男ってやつは。原は鼻息。失礼しちゃうわ。みんな馬鹿なんだから。

 ハンガー入り口には石津萌がいた。息が荒い。善行と瀧川が心配で見に来ている。
横を通り過ぎて、言葉をかける原。
「貴方もはっきりすることね。ぬるま湯みたいなことやっていると、後悔するわよ」

殴りたい放題言いたい放題やってハンガーを離れた後、原の歩きはだんだんゆっくりになって止まった。原は何かを飲み込んで、上を向いて、そうして、全力で走り始めた。

<緑のオーケストラ 原・ストライク−了>

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 草葉の陰ならぬ校舎の影で、ペンギンは煙草を吸いながら、にやりと嘴を歪めた。
「70点。無理して格好つけすぎだな。まあ、卒業ぎりぎりってところか」
そしてくわえ煙草をしながら、一言付け加えた。
「俺も丸くなったな」

その隣で表情を隠すためにサングラスをしながら是空は、原から目が離せない。
ああ、泣かないでと、手だけが、原の背を追って動いた。目元隠しても意味がなかった。
「師匠、ひどすぎますよ」是空は言った。
「そういやお前、結婚申し込むんだろう?」ペンギンはどこか優しく言った。
「あ、いや、それは」頭を盛大にかく是空。
「失敗したらいい女を紹介してやる。いってこい」ペンギンは言った。
「……鳥類じゃないでしょうね」是空は微笑んで言った。
「細かいことは気にするな」ペンギンは笑って言った。

是空は意を決して飛び出して原の背を追った。
絶対失敗しているのはペンギンともども知っていたが、それでもやるゲームだってある。

ペンギンは煙草を投げ捨てて踏み消すと、ゆっくりと第三の道を歩き出した。

<こんどこそ、了>

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