緑のオーケストラ本祭開始 原・ストライク(6)

(5)

 その日、善行は上機嫌であった。
英吏が手配していた資材が、ヘリによって輸送されてきたからである。
彼の表情はまこと幸せそうで、この後の惨劇など、まるで思いついてもいないようである。

 ついでに、上機嫌なのは金城もである。
満面の笑顔で、準備体操をしていた。

「どうかしたんですか」
「甘いもの」

 金城の言葉に善行は笑い、お菓子がたくさん入っているといいですねと、そう言った。
得意そうに何度かうなずく金城。

 さらに隣では、源が緊張した面持ちで立っていた。汗をかいている。

「どうしたのよ、ゲン」
「女子供には関係ねえ」

 源の目当ては、ガムと、男子学生にとっては慰問袋に入っていたらいいなの代名詞、ちょっとHな雑誌である。

もはやめくるめくページをめくる前に大バーニングである。

(甘いもの、甘いもの、甘いもの……)
(ガム、グラビア、ガム、グラビア……)
金城と源は並んでうぉっしゃあと、叫んだ。互いの顔を見る。

「甘いものはこれっぽちもあげないわよ。ゲンのものは私の物なんだから」
目を細めてすまして言う金城。どうでもいいが金城は源のものはなんでもすぐ全部独占したがる小さい独占欲がある。逆に自分が嫌いな高カロリー食品は、すぐ源におしつけ……ると恥ずかしいので男皆に配っている。

そんな金城の気持ちなんぞ完全に気づかず悪魔のように笑い返す源。肉を切らせて骨を絶つ。
「はっ、そんなものに興味はねえ。食え、好きなだけ食ってぶくぶく太れ。わっはっはっは」胸を張って豪語し、金城にハイキックを食らってぶっ倒れた。
2秒で起き上がる源。金城を丸かじりする勢いで口をあけて文句を言った。
「何すんだよ!こんなめでたい時に!……って、な、……お、おい。どうしたんだよバカ」
金城が悲しそうに見つめると、源は弱い。段々トーンが小さくなった。
金城は恐れていることをきいた。
「アンタ、デブ専なの!?」
ぶっ倒れる源。キックより強烈らしかった。7秒で起き上がり、金城を丸かじりする勢いで口をあけて文句を言った。
「お前か、俺についてないことないこと悪い噂を流してる奴は」
「でも、荒木だって」
「雪子ちゃんはどー見ても可愛いだろうが」源にとっては自分に親切にしてくれる女の子は全部かわいいで統一されている。
「英吏とか」金城は声が震えている
「まてや金城」 怒りに小刻みに震える源。こいつはどこまで俺を小バカにしやがる。
「私は?」金城がそう言っても源は、しばらくその意味が分からなかった。
「……は?」我に返ってそう聞き返す源。二人で見詰め合う。

二人が相手について思考停止している間に、背後で大音声。

 ヘリから投下された荷物の着地音だった。

二人は慌てて顔をそらし、競って補給物資を強奪に行った。

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