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zoom RSS 緑のオーケストラ 原・ストライク(3)

<<   作成日時 : 2006/05/27 22:28   >>

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 疾走するスバル360は、土煙をあげながら長いトンネルに突入した。
ビニールテープで割れないように補強したライトが二つ、×印の影を作りながら点灯した。

この世のように真っ暗になった車内で、一つの小さな明かりがついた。
ペンギンが、ライターに火をつけたのだった。ペンギンの顔と原の横顔が、小さな光によって映し出された。

ペンギンはその小さな炎をじっと眺めた。ハードボイルドは祈っている。
誰に祈っているのだろうと原は思ったが、何も言えはしなかった。そうしているうちにペンギンは、ライターの蓋を閉じた。カーラジオのスイッチを入れた。
そこから聞こえてくるのは何百もの歌姫の、一羽のハードボイルドの背を押すための祈りの歌だった。

「いくぞ」ペンギンは、静かに言った。
「分かった」原は寂しそうにフランスパンをしまいながら返事した。

「一つだけ教えて、誰を助けるの?」原は髪を振って言った。
「目に映るもの全部だ。助ける相手を選ぶつもりはない」

トンネルを、抜けた。

原はペンギンの言葉を優しく笑った後、薄いことで知られるドアを蹴破り、その笑顔を風圧で歪めて疾走するスバル360の窓から天井の上、車上にあがった。荷物をあれそれ外部に積む関係でハードボイルドペンギンのスバル360はロールバーや鉄板をはじめとして極度に天板を強化してあった。その上に原は大股でまたがり、体が柔らかいことを証明している。

スカートのホックを、外した。風に飛ばされていくスカート、はためく。

中から出てきたのは見事な脚線美とホットパンツ。そして対中型幻獣ライフルの機関部だった。ふとももには工具が並んでいる。

 つまりはこれがペンギン曰くの趣味が悪いであった。
原は、普段は物干し竿の代わりになっている銃身を括りつけられている荷物から引き抜き、揺れる車上で組み立てる。
4秒で完成6秒で2脚を降ろして伏臥して射撃体勢をとった。

 その下、運転席ではハードボイルドペンギンがコートの下からワルサーPPKを取り出した。窓を開けて、ワンフリッパーで絶妙のステアリングを披露して見せる。

基本に忠実なコーナーリング。柔らかい足回りが車体を大きく傾かせた。
トンボが舞う田園風景に冗談のように大津波が襲い掛かってくる。誘導され、逃げる民衆、誘導する武器を捨てた陸戦部隊の兵士達。

その横を疾走するスバル360が通り過ぎて行った。

「暗闇よ。お前達の天敵が来たぞ」ペンギンは静かに言った。
「私の名前は原素子。全敗の女。でも後悔はこれっぽっちもしていない」原は、そう言った。

スバル360の向かう先、ピンクの髪の少年が少女の手を握って走っている。
その背後には永遠の命をもちたる一人の女。EFが聖銃を持って立っている。
必死に走るピンクの髪の少年の背に銃を向けた。
この都市船が沈むことも、これから起きる大惨事の何もかも、ただそのための布石だった。

「目に映るものその全部、助けるのが夢ならば、それを支えて原素子!」

弾力ある原の胸に押しつぶされたスバル360、速度を上げる。原、脚を伸ばして片目をつぶってガンベルトから赤い帯の入った特大直径30mmの弾丸をライフルに詰めた。この銃、単発である。弾丸と薬莢をあわせた大きさは牛乳瓶ほどもあった。こんなもので貫かれたらたまったものではない。

「吶喊!」

ぶっ放した。スバル360の軌道が曲がる位の衝撃を残して30mm弾が飛んでいく。
聖銃が撃たれる。30mm弾を迎撃、爆発。原は笑った。
ペンギンが銃を撃った。

EFの聖銃を打ち抜き、爆発させる。
ペンギンと原は同じように微笑んで、EFをひき殺さずにターン。一瞬止まった。
「デブが一人、一人も殺さぬために努力してるんでな」ペンギンは言った。
「逃げたがいいわよ」助手席に身を投げ出しながら原は言った。

何事もなく走りだすスバル360。走り出す。
原は、優しく笑っていつまでも変わってないピンク髪の背を見る、直ぐに身を起こして怒鳴った。

「男なら最後までその手を離さないようにしなさい」

ペンギンは煙草をくわえながらにやりと笑うとシフトチェンジ。タキガワとスイトピーの横を通り過ぎ、フリッパーを軽く振って飛んで行くように通り過ぎていった。

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