BINGOボーナス4

 谷口と初めて寝たのは12月の18日だった。

 ソファで咲良が寝ているのに気が付いて毛布をかけて、その後である。
「先生に連絡した?」
 毛布をかけた工藤が言うと、咲良の青い髪に触れるかどうかで迷っていた谷口は結局触れずに顔をしかめて言った。

「ああ。とめてやれと。参った」
「いいじゃない?」
「俺が問題にしているのはそういうことじゃない。空先生は隊長を大事にすべきだということだ。そうもっといろんな人に隊長は大事にされなければいかん」
 それは、谷口のここ最近の持論である。
確かにわがままで怒りっぽくてTPOを全然わきまえてない人だが、もっといろいろな人に愛されてもいいと、そう考えていた。

「過保護なのよ。貴方は」
 工藤はそう言うが、谷口は咲良が小さい子と同じように目を離せば危ういと思っている。悪い人にこの人がいじめられたりしたら俺は殺人を犯すことになるだろうなと、かなり正確に自分の気持ちを把握してもいた。

 まてよ。危ういのは俺なのか?

谷口の表情をじっと見る工藤は、谷口の頭の中の混線模様をどう思ったか、横を向いた。

一度持った鞄を、置く。

「私も泊まります」
「そうか?」
谷口の言葉にうなずく工藤。
「貴方が合意なしで何かするかも知れないし」
 谷口は、苦笑して見せた。
「それはない」
「わかるもんか」口調を変えて、工藤がそう言うと、谷口は本音を言った。
「俺はあの人が悲しむと思うと、何もできなくなる」

/*/

 谷口は顔を上げて、工藤を見た。
「さて、隊長をどうするかだ」

女言葉に慣れ過ぎて、工藤は男言葉を使うのに苦労している。この日も、言い直した。
「抱き上げて布団まで運べばいいじゃない。……いいじゃねえか」

赤面する谷口。
「ああ、いや」
「なに照れてんだよ。普段から抱き着かれたりかついで持ったりしてるくせに」
谷口はくるりと体の向きを変えて、工藤の低い鼻を指さした。
「工藤。それは違うぞ」
「何が」

工藤に疑惑の半眼でにらまれながら、谷口は顔を赤らめて力説した。
「黙って寝ていると、この人はただの美少女だ。その、だから子供ぽくないというか。だから気後れする」

力説し過ぎで、咲良がうめいた。互いの口に手を当てる谷口と工藤。
また静かになる咲良。小声でしゃべる工藤。
「そんなもんか」
小声で返事する谷口。
「ああ。そ、その毛布をちゃんとかぶせてやるだけにせんか。うん上着とリボンだけとって。ブラウスの第1ボタンを外すくらいで」
「細かいな」
「俺の性格だ」
「……分かった。で、私はどこに?」
「俺の布団がある。じゃ、そういうことで」
「なんで逃げようとする」
「違う。布団が一個しかないから俺は航の家にな、うん」
「ま、待て、それは駄目だ」
「何がだ」
今度は工藤が顔を赤くする番だった。
「俺が変な気になると困る。その、上着脱がすくらいならさておき、その、いやだから、俺もお前も、な?」

見れば谷口が、胃の上を押さえていた。
「寝た後まで俺の胃を荒らすのかこの人は」谷口のうめき。
視線をそらす工藤。口を開く
「いいから。だから互いに監視するぞ」

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