NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(29)

 牧原兄妹は、敵に接敵を続けながら航空動物兵器の隼(名前は息吹)を使って状況を刻々と善行に送っている。

 茂みから顔を出し、目を細める牧原妹こと輝春。口を開く。
「アンフィスバエナもいる。数は……全部で60くらい」
 さらさらと手書きで暗号を木の葉に書き込むその兄、倖。優しい声で返事を返した。
「規模から言えば山岳騎兵の1個中隊であたりたいというところだね。迫撃砲か騎兵砲が欲しいところだよ」
「どうするの、兄貴?」
「隊長が決めることさ……どうかした?」
妹の冷たい視線は、何かいいたそう。横を向いた。
口を開く。

「兄貴はどうしたいの?」
いくつになっても僕の後をついてきたがるんだからと、笑って妹の頭をなでる倖。妹は髪を乱されながらも、何の文句も言わなかった。兄の言葉を待っている。
口を開く倖。
「僕の意見としては、村に近づかない限りは息をひそめて隠れておくべきだろうね。こちらはせいぜい増強小隊規模しかないし、第一補給線が確立されていない」
「兄貴は、隠れられると思う?」
「難しい。この辺に敵がうようよする理由は分からないけれど、この調子で何戦かすれば、すぐに場所を特定されてしまうだろう」
 視線をそらす輝春。考えている。
「アゴヒゲは信用できると思うの?」
「多分ね。動いた」

 幻獣の群れが、動く。斥候として小型幻獣たちと次々と扇状に送り出し始める。ゆるやかに前進する中型幻獣たち。

「重砲幻獣はいないみたいだね。相手に間接砲撃能力がないのは、喜ぶできだけど、さて。この編成はつまり機動力こそを重視して急いできたということかな」
 兄の言葉を吟味して口を開く輝春。
「さっき全滅させた敵の増援かな」
「行方不明部隊の捜索かもしれないけれどね。こちらにも斥候を出しはじめたね。輝春、いこう」
「うん」

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 一方その頃。
善行は山岳騎兵が独自に作成した作戦地図と陸軍の作成した1970年製作の軍用地図と、民間の周辺地図とにらめっこしながら敵の布陣を考えている。一つの完璧な地図があればさておき、そういうものがない以上は複数の地図を組み合わせる必要があった。
 何事にも用意周到な善行は暇を見つけては警戒のために見回りを出す際に航空動物兵器に写真撮影させて独自の地図をつくりはじめていたが、こちらはまだ、十分な完成を見ていない。

地図の作成を急がないといけませんねと言いながら、新たに戻ってきた息吹の脚につけられた電波航法記録装置から牧原兄妹の位置、すなわち敵の位置を推測する。おおよそ40分ほどまえの最新情報を元に作戦を考える。

「芝村君はどう思いますか」
源と取っ組み合いの喧嘩をしていたところで呼び出され、善行のそばで控える英吏は、目を細めて言った。

「敵は何かを探しておりますな。それはそれとして、牧原兄妹への増援ととして、竜造寺と先内を出すべきです。万が一のことがあったとき、情報がなくなるのはまずい」
うなずく善行。
「そうしましょう。指示を出しておいてください。そもそも2チームが接敵していれば牧原くんたちも無理をしないでいい分、生存率が上がる」
 そもそも雷電と航空動物兵器の組み合わせで、善行が偵察隊を組織していたのは、生存性をあげるためでもある。

 雪子にうなずく英吏。
「指示をだしました」
「ありがとう」礼を言いながら善行は考えている。
最新情報を受け取り、反映。予想どおり、敵の捜索範囲に村が入っている。善行は思ったよりずっと早く敵に見つかったなと思いながら、戦闘を決意した。

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