???

青空というものがある。
 地球の丸みにそって輝く、一人で抱きしめるには少し大きな、そういう空間だ。

現在高度36000m。
上は、暗い。下は、丸い。ついでに言えば、青い。

こいつみたいだな。少年は、胸に下げたお守り代わりのブルー・オーマシンボルを眺めた。
青空と宇宙の境界線は息を飲むほど美しく少年は笑顔になってシンボルと見比べた。
贔屓かもしれないけど、やっぱ、空のほうが、綺麗だよな。

無線が入る。
「コウタロー。準備はいい?」
「あいよー」
 少年、コータローは、シンボルを胸にかけると、コクピット内のスイッチを入れ始めた。
上下左右60基並べられたTVモニターが、外界を映し始める。

足元の全てが、地球の青さに輝いた。浮遊気分。

無線。
「新婚ともなると簡単なやり取りにも愛を感じるな」
「やめてよ! ライラプス」

金髪、そばかすの少女にしてコウタローの新妻たるアプローは、きっと顔を赤くして言った。
物を投げる音に笑うコウタロー。あれはスパナかな。スパナだろうなあ。

無線。
「コウタロー、エントリー、用意」照れ隠しの、アプローの声。
「あいよ」コウタローは、遠い昔の黒髪の少女を思い出したが、直ぐに忘れることにした。
「がんばってね、コウタロー」アプローの声。今もう、この声だけが大切なこと。
そう思ってコウタローは笑った。優しく口を開いた。
「了解。エントリー」

切り離し。

 青空の中に、落ちた。
風を切って落ちていく、人型兵器”皇帝号”

遠く、1万m先から見れば、その姿は青空を潜っているようにも見えたろう。

 ブースター着火。
機体が、持ち上がり始める。

/*/

 迎撃ミサイルは百を越えた。
白いストレーキを描きながら、飛んでくる。

高機動ミサイル。数十kmの円弧を描いて飛んでくる白い軌跡。

絶対物理防壁を展開。コウタローはサンダーバードに教えられたことを思い出す。

クイックターン。

 胸部レーザーが自動迎撃を開始。猫達がレーザー銃座を動力回転させながら一斉射撃を開始した。

爆発。爆発。光の珠がいくつもあがる。

ターンからパワーダイブ。パワーダイブで得た速度エネルギーを、今度はゆっくりとスティックをあげて位置エネルギーに変換していく。

高度2万m。

今は新しい海になった朝鮮半島を見る。日本列島の一部も円の一部を構成するように削れている。
酷い話だ。1億近い人間が直接間接に、死んだ。

 コウタローは後席に座る猫の声で我に返った。
手信号で軽く礼を述べた後、情報収集ポッドをリリース。

 青い海に落下して行くポッドをレーザーで誘導した後、機体を傾けて次のポッドをリリースするポイントまで飛んだ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 12

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い 面白い
ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい