NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(28)

 瀧川陽平は人型戦車の前で毛布に丸まって寝ていた。
寝息は静かで、寝れる時に寝るという習性が、すっかり身についてしまっている。暑がりのせいで足の先が出ていたりするのは相変わらずだが。

 一方、戦車格納庫=ハンガー内に仮設で作られた仮眠所の中で、黒い制服に身を包んだ芝村舞は、眠ろうとして眠れていなかった。毎日のように届くはずの彼女の青こと青の厚志からの手紙が、ここ数日滞っていたからだった。
 もっとも、この辺は普通の乙女と全然違って彼女は青の身を案じたりはしていない。むしろ青の敵になるであろう存在の身こそを案じていた。不必要な殺しも暴力も、彼女は認めていない。この点青もそうだが、その、奴は時々、遠慮を忘れる。と、舞は思っている。依然せがまれるままに本を読んでやっていたら夜明けになっていたことが何度かある。

いや、そんなことよりも。舞は握りこぶしを握る。

 心配なのは、誘惑である。青の厚志が誰かに餌付けされいたり、かわいいのにほだされていたりしないかと、そういうことを舞は心配していた。猫に弱いのは拾って飼っている猫が100を越えているあたりで既に実戦証明されている。問題は猫に似た人間はどうかだ。
この場合の監視員として壬生屋と希望をつけていても、舞は、まだ心配していたりする。

信用がないどころの話ではない。美女とは軽々しく話さぬように、理由は聞くなと舞は青に厳命していたが、今となっては男もだめと言えばよかったと思っている。

腕を組む舞。毎日寝る前にそなたの手紙を読んで寝るというのに、なんと勝手な男だと、考えた。これでは寝れないではないか。

(お、愚か者、愚か者、たわけ。私が好きなら手紙くらい毎日出すがいい)
と、勢いよく立ち上がって手を振って大号令しようと思ったが、結局、頬を赤らめるだけで、やめた。

ありていに言うと青と同じ程度には、舞もあっちゃんにめろめろさんなのよ(東原希望談話)であった。表現法が違ってただけである。

 ばたりと倒れて毛布をかぶる舞。いいから寝よう。
寝不足だとろくなことは考えない。

 本人としてはきわめてこっそり持ち込んでいるつもりの青の厚志作の雷電のぬいぐるみを袋から出して抱き締め、舞は目をつぶった。

なお、このぬいぐるみ雷電のモデルは竜造寺の雷電であるジジである。舞はこのおとなしい雷電の写真を、詳細な説明書きとともに青に送りつけていた。

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