斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第6ターン つづみ・ 三水酉

竜造寺は、瞳を輝かせた。このチャンスを逃せば、死、あるのみ。

「いくぞっ」
 思わず心の声が、実際に出た。どうでもいいがかなりテンパってるな、お前。

「え?」
 びっくりする柱に、いや、なんでもないよと、この期に及んでさわやか系な受け答えをするあたり、この人物の天然さわやか、もとい筋金入りさが分かるが、相手もまた、天然で筋金入りの小動物系だった。

「柱さん。お願いが、あるんだ」
「な、何?紫苑君」リスが寄ってくる感じで、柱は顔を近づけて小さな声で言った。
「源を呼んで来て欲しい」竜造寺の言葉に、柱は即座に反応した。赤くなる。
「だ、駄目だよ。それは駄目」
「お願いなんだ」 ゆっくり言う竜造寺。ここが、勝負だ。
涙目になって首をふる柱。
「だ、だめ……だ、だって源君授業中だし……それに」
「それに?」

柱は、本音を言った。
「き、金城さんがこわい……」
「金城さんは怖くないよ。大丈夫」 彼女は優しいからと心の中で付け加えた。
言いよどんだ後、口を開く柱。
「キックがこわい……」

ああ。

思わず納得してうなずいてしまった竜造寺。それは僕も怖い。
いや、しかし、もはやそれどころではなく。

「そ、それいがいなら、私、がんばるから」 柱は懸命に言った。
「じゃ、じゃあちょっと変わったお願いをしてもいいかな」竜造寺は、ナイスアイデアをひらめいた。
「なに?」
「僕は君の看護士すが……何を言ってるんだ僕は!」 自分に突っ込みを入れる竜造寺。
「??」少し首をかしげる柱。とりあえず笑顔をしてみる。

「ごめん……なんか疲れているみたいだ」ベッドに深く倒れこむ竜造寺。いや、最初から寝ていたのだが。

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一方その頃。
斉藤奈津子は、全力でドアをあけて、ドアをぶっ壊していた。

「花瓶のお、お花を取替えに来まシタ!来まシタ!」
神海が、心労で倒れる。あわてて支える萌と斉藤。
金髪の人は、とても綺麗だ。こんなに綺麗な女の人がいるなんてと、斉藤は思う。

目をあげて、斉藤は萌を見た。 免許こそないが、萌は手術にいたるまで実質医師と同じことをやってのけており、多くの看護学生から、感謝されていた。 何もかも最低だった熊本戦で、彼女は田辺とともに戦場を走り回っている過程でこの技術を学んでいる。 この件について医師法とか口に出す人間がいたら、善行が射殺する前に萌はメスを投げつけるようにしていた。

「よ、容態はどう、ですか」おそるおそる聞く、斉藤。
「今……ショック状態になった」萌は、小さな声で言う。
「なんでこんなことに」悲痛な表情になる斉藤。

 神海が墓の下から蘇った亡霊のように斉藤の首をしめた。は、はうーと言う斉藤。
「貴方がドアをぶっ壊すからです!」
「静かにして」萌。
怒られたショックでまたぶっ倒れる神海。支える斉藤。

時計を見る斉藤。急がないと。神海を床に寝かし……斉藤もそうだが神海も萌も、数日寝ていなかった……斉藤は、口を開いた。
「あ、あの、花を」
「好きにやって」萌は、斉藤がどんな小さいことでも誰かのために働こうとしていることを言葉ではなく把握していたから、そう短く言った。少し考えた後、言葉を付け加える。

「ありがと」

斉藤は顔を真っ赤にした後、花と花瓶を胸に抱いて、走った。

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