斉藤奈津子(なっこちゃん)からの脱出 第3ターン  トオコ・ 古村

竜造寺は、英吏と源をひとしきり呪った後、冷静に考えた。
まだだ。まだ終わっていない。

<國分くん、いいかい>
<おお、なんだ>
<ちょっと助けて欲しいことがあってね。困っているんだ>
<そっちには斉藤がいるだろ>

 竜造寺は遠い目をして天国の風景を見た後、現実に戻って通信を送った。

<その、彼女には頼めない用事なんだ。うん>
<……駄目だ駄目だ。俺は馬に蹴られて死ぬつもりはない>
<だからなんでみんな馬なんだいっ>
顔をしかめて通信を送る竜造寺。

國分は金城が突撃する場面を見ながら、いやぁ、すげぇなとつぶやいた。
通信を送る。
<俺は斉藤の味方だ。男の芝村のほうから話はきいてる>
<どんな話だよっ。ごめん、どんな話だい>

金城は深澤の後頭部を蹴って、まず一人とか叫んでいた。通信を入れる國分。
<いや、俺は斉藤の好きな奴が男の芝村のほうだと思ってたんでな。昨日奴を締め上げたんだ>
<え、そりゃ本当かい?>

源と英吏は手を結んだ。英吏を先頭に並んで突撃する。これが、噂の連携突撃か。
<本当だ。やっこさん、あれはあれで面白いな。残念だが、とか言って、本当に残念そうだったぜ。まあ、俺とやつはモテない同士、仲良くなれるかも知れん>
 金城のジャンプとび蹴りで踏みつけられる英吏。俺を踏み台にした!?とかいいながらぶっ倒れる英吏。
 バカヤロウ、はしたねえぞ!とか注意しながらあー、と蹴り飛ばされていく源。

ふーと、怒ってる猫のように口から息を噴出している金城。
やばい、目があった。

<國分くん?>
<ああ、なんだ> 國分は全力で逃げ出した。、ああいう奴に理屈はきかない。
<あ、いや、君と英吏の関係じゃなくて>竜造寺は、照れていた。斉藤のどこか寂しそうな横顔を見て、あわてて顔を背けた。再度通信。
<本当なの?>
<確かに竜ちゃんに手ぇ振ってるとき、顔赤くしてたからなぁ>

 今までまるで斉藤を意識してなかった竜造寺だが、二人から話を聞いて、急に斉藤を意識し始めた。考えているうちに國分からの通信が途絶える。

まずい。

だったらなおのこと、あんなことはされたくないと考え出す竜造寺。目はぐるぐるである。追い詰められたと思った。
正直斉藤のことは良く知らないが、いや、もうそう言う問題ではない。重要なのはその。ああっ。
ドキドキしだす竜造寺。

モテはしても竜造寺、男以外と親しくしたことはなかった。
あわてながら、國分を呼ぶ。反応なし。あせる。反応なし。

ばたりとベッドの上で力尽きる竜造寺。

いや、駄目だ。もはや絶望する時間もない。

「あー。えーと、斎藤さん。僕、リンゴかなにか食べたいんだけど、とってきてくれ」
斉藤はあわてて押し花から目を離すと、背筋を伸ばしてそこにあるリンゴを手にとって手刀でばらばらにすると楊枝で刺して竜造寺に差し出した。
「はいどうぞ!」

2秒の早業だった。

ばたりとベッドの上で力尽きる竜造寺。

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