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zoom RSS NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(57)

<<   作成日時 : 2006/04/22 02:59   >>

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「へえへえ。それじゃ、いきますよっと」

 瀧川は善行の命令を聞いてそうつぶやくと、小心者らしく、直接視界を得るための視察クラッペを閉じると、頭部捜索レーダーを作動させた。
捜索レーダーの限度一杯、64機の敵が映る。どこを見ても輝点ばかりだった。
火器管制レーダーに切り替え。一匹目にカーソルを合わせてロックオン。
 栄光号本国仕様の愛嬌のないのっぺりした頭が小刻みに敵を追って動き続ける。
 射程は1kmを割っている。瀧川はオートバランス制御を命じるボタンを押しながら、引き鉄を引いた。砲撃を示すブザーが鳴る。きっちり一秒後、砲内の電気着火装置がキックされて火薬に着火した。

 爆発の響きを立てて直径9cm、一升瓶と変わらない大きさの砲弾が発射された。
舞機も、ほとんど同時に砲戦を開始している。
かん高い音を立てて砲弾が飛翔した。

発射の衝撃で、瀧川ごと機体が、大きく揺れた。それが、普通の戦車と人型戦車の違いである。射撃プラットホームとして見る場合、人型戦車は普通の戦車と比較してはるかに命中率=安定性が悪い。正確には、悪くしないと砲撃時の衝撃を殺し切れずに足回りが故障する。

 前作、熊本戦で使われた士魂号M型は、フォルムやハード性能はともかく、武装や運用は過渡期的なものだったから、安定性をあげるために足腰を強化し、その上で主砲は装薬を減らして衝撃を減らしていた。海軍が第二次防衛戦争後の一時期、仮装巡洋艦(武装タンカー)を作る際にやわな商船の甲板上でも備え付けられるように、装薬を減らした弱い90mmQF砲を造っていたが、この使い道のあまりない砲身を流用して士魂号Mの主砲は作られている。

 士魂号の戦闘経験をフィードバックして作られた栄光号は、この問題を、発想の転換で解決した。
 柔らかい膝や下半身の動きを使って射撃時の衝撃を吸収し、射撃プラットホームとしての安定性を捨てたのである。
この結果、威力の強い砲を装備することができるようになった。口径こそ2mm小さいものの、威力的には二倍以上強力な90mmの零式減口径砲を装備したのである。

 低下した命中率の問題は、強力で優秀な火器管制装置への変更で解決が図られた。それでも足りない部分は……

瀧川は霊子計算機よりも速く、おおよその諸元を計算すると、上半身を操りながら、揺れるタイミングを計って撃った。

数秒で初弾は敵に命中した。貫通し、爆発するアンフィスバエナ。
栄光号が、揺れる柔らかい膝の動きと後ずさり、とっさに出す足の動き、それすらも利用して瀧川は砲を操作して次の目標に照準を合わせた。もう一門をぶっ放す。交互に砲を撃ち、この動きで敵の攻撃をかわしながら次々と命中弾を叩き出した。

 2機が、60機を圧倒し始める。だがそれでも敵、幻獣は引かなかった。理由はさておき、行動は勇敢だったと言うべきだろう。

 舞機と合わせ、2機で砲門数で4両の普通の戦車に匹敵する火力を叩きだし、そして善行の指揮の元、瀧川たちは正面から砲戦を挑んだ。踊るように舞うように、攻撃をかわしてつるべ撃ちして撃って撃って撃ちまくった。煙が立ち込め、視界がなくなる。

敵。人面、長くて細い手足のついた光線を発する芋虫、アンフィスバエナの群れは中央に大穴を開けながら、左右に広がり、迫ってくる。
 応対するように砲を向け、背中あわせになる2機の栄光号。
2機が接触すると見えた次の瞬間、瀧川と舞は足の後ろ指を展開してクイックターンして同じ方向を向いた。

左右に展開したアンフィスバエナたちは栄光号に肉薄し、砲撃を避けようと突撃してくる。
その肉薄を阻止したのは、カトラスを一本だけ手にひっつかみ、歩き始めた善行だった。

カトラスの一閃でアンフィスバエナの首を叩き落とし、次の一閃で別の一匹の頭にカトラスを突き立てた。

 返り血を涼し気に浴びながら善行は背中を守る2機の人型戦車に言う。
「片側に攻撃を集中し、敵を各個撃破します」

そしてその冗談が傑作だとと言うように、優しく笑った。

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