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zoom RSS ボーナストラック ガンパレード・オーケストラ緑の章(53)

<<   作成日時 : 2006/04/20 00:38   >>

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ご注意:(連作です。第52回から続けてお読みください)

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遠くから頭上の音。

 空の爆音に英吏とクイーンオブハートは頭上を反射的に見上げた。

 森は深く、敵からこちらの姿を見ることが出来なかったが、英吏は顔を厳しくすると、<ほとんど>斎藤に向かって言った。

「ふむ。このまま立っていても仕方ないな。移動後、やり過ごす。いくぞ、斎藤」

3歩歩いて斎藤を見る、英吏。斎藤は、離れるように2歩下がった。

 英吏は、動きを止める。
 嫌われるのには慣れていると思ったんだがなと英吏は心の中で自分をあざ笑った後、事務的に言った。
「なぜ俺を避けるのかはわからんが、今は俺と来い。斎藤」
「だから私は斎藤さんじゃ……」
「何と呼べば来るんだ」

奈津子と言いかけて斎藤はあわてて横を向いた。
「あ、あうあう、なんと呼ばれても同じです。英……兵隊さんは、逃げてください……私は……私はまだ戦えます」
「いい気になるな。斎藤」

 何度も斎藤と呼ばれて、斎藤は耳まで赤くなった。

「だから」
斎藤が小声で言っても、英吏は無視した。実際のところ、かなり腹を立てていた。誰にでもない、自分自身に。
俺はまた、手の届くところで守れたはずの女を苦界に叩き落としたなと、己の無力に唇の先を歯で噛み切るほど腹を立てた。

怒りを押さえ、斎藤の腕を取って歩きだす英吏。
その瞳が息を飲むほどの炎のように揺れている。だが口だけは、静かに動いた。
「何と呼ばれても同じ、ならば俺の好きに呼ばせてもらおう。斎藤。もう一度言う。ついて来い。そなたがどれだけ強いかは知っているが、無敵ではない」

 なんと言おうか考える斎藤、この段階でも斎藤は、どうにかして自分は英吏の知っている斎藤は違う、軍の生体兵器なんかじゃないと、英吏に信じてもらおうと思っていた。

そうでなければ、悲しすぎた。こんな姿をさらした以上、もう二度と村には戻れないと分かっていたが、それでも、英吏の思い出の中の斎藤奈津子は違うのだと、そう言う風に思われて終わりたかった。

「さ、斎藤さんと私は従姉妹なんです。だから斎藤さんは信念を……」

クイーンオブハートの鳴き声。

 爆発。 ミサイル。 連続爆発。

英吏とクイーンは斎藤を抱いて飛んでいた。中々の反応速度だった。斎藤の背の黒猫が前脚を伸ばして見えぬ防壁を張っている。

 地面に転がり、かばい、倒れたまま至近距離から英吏は手を伸ばして斎藤の面を取った。

あわてて手で顔を隠そうとする斎藤の腕をつかみ英吏は言った。

「斎藤」
顔をあげて、息を飲む斎藤。英吏の、烈火のように燃えはじめた瞳に圧倒されて、素直にはいと言ってしまった。

英吏は言った。この空を覆うほのぐらいなにもかもの、その本来の天敵のように。
「俺はそなたが何なのかには興味がない。俺はそなたが何をしたいのかにも、興味はない。そなたの人生だ。そなたの好きにすべきだと心から思う」

「だが」
英吏は斎藤の顔に生えた猫髭を引っ張りながら顔を近づけて言った。

「そんなことは、どうでもいい。俺に重要なのはただ一つ。それが俺の味方なのか、そうでないのか、それだけだ。そなたは俺の味方か。斎藤奈津子。種族でも、所属でもなく、俺は問う。お前は俺の味方か、それとも敵か」
「み、味方です」斎藤は発作的に言った。
静かに口を開く英吏。
「ならば俺から隠れるな。かわりに心の中で好きなだけの悪口を言うことを許す」
「でも私はペン……いひゃい」
 斎藤は猫髭を強く引っ張られて涙をためて言った。
英吏は、斎藤の表情を見てちょっと機嫌を直した。
「そなたが何者かには興味がないと言った。分かったか」
「ふぁい」
 斎藤は、おひげを引っ張るのはひどいデスと思ったが、結局、強引さに流された。この人が気にしないと言ったら、本当に気にしないような気がした。そう信じたかった。

 背後で爆発。爆風を背に受けながら、これから世界を征服をするように英吏は悪の固まりのように笑って言った。
「よかろう。では最小限の反撃の後、撤退を開始する」

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