NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(46)

「良く覚えておいてください。次は、戦死ですよ」
 善行はそう優しく言うと、雪子に微笑んで見せた。
逆光越しに見る善行は背筋を凍らせるには充分で、誰がどう見ても戦争が好きで好きでたまらない、地獄の鬼の顔に見えた。

そうだ、私はずっと間違いを犯していた。雪子は思った。
 地獄の鬼が地獄で怒っているわけがないじゃない。
地獄についた鬼は、故郷に帰って来た人間と同じ反応をするはずだ。

笑うのだ。

 雪子は銃口を口に突っ込まれながら目を全開で開けて歯を鳴らした。
善行は目を細め、故郷の地理を順に話す様子で雪子に言う。

「先内君は生き残りますよ。よほど運が悪くない限りはね。分かりましたか。……結構」
 善行はトイレパックからあふれた雪子の小便を踏まないように銃を抜くと立ち上がり、切っていた通信機のスイッチを入れた。

「こちら、芝村、源ペア。聞こえますか」
最初に入ってきたのは英吏の声だった。どいつもこいつも命令違反しやがると考え、善行は口を開いた。見せしめに誰かを銃殺してやってもいいですね。
「こちら100。善行。どうしました?」
「なに、突撃をされるのであれば雷電がもう少し足りないのではないかと思いまして」
 芝村らしい英国的間接的表現だった。善行は心の中で英吏を盛大に銃殺したあと、口を開いた。
「そうですね。少し足りませんね」
「村の防衛に回していた我々の雷電があります」
 無線越しに聞こえる声には緊張があった。ここは芝村らしくないな。善行は口を開く。
「……なるほど」
「ご命令があれば、待機を解除して、紅達と合流しますが」
「なかなか楽しいお芝居ですが、無線機の到達距離から考えてとっくに動いているのではないですか?」
「どんなご命令があっても即座に対応できるよう準備しておくのが、良い部下かと考えております」
 善行は目を細めた。
「なるほど。僕はいい部下を持った。いいでしょう、うまく合流して突撃を行ってください」
「感謝します」
英吏は即座に返した。善行は少し笑う。
「芝村に指図して感謝されるとは貴重な経験です」
「紅も結城も可愛い奴です」
善行は不意に、理解する。5121より、ここの部隊は仲間意識が強い。家族意識と言っても良いくらいに。それが、隊の兄弟、この部隊の特性ですか。
「なるほど。可愛い兄弟のためならそうしますよね。以上 オクレ」
「了解 オクレ」

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 英吏は顔をあげると源にむかってにやりと笑った。
源も、歯を見せて笑う。二人は悪ガキ同士であった。
「ま、当然だな。いくぞ、英吏」源は上機嫌で言った。
「最後の方向修正を頼む」
そう返し、英吏は後で善行に全員で詫びを入れるべきだなと考えた。あの声、かなり怒っている。
あえて無視するのも芝村的ではあるが、善行は優秀だ。もっと活躍してもらわなければ。

「こっちだ」
源は方向を指すと、グリンガムに後少し、がんばれよと言った。

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