NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(44)

 ブラックは、砲撃の中を駆け抜ける。
立ち込める土煙をヘルメットから下ろしたバイザーで防ぎ、当たる瓦礫を、黙って耐えた。

 妹を抱く左手で、バイザーを拭った。指が作った細い線越しに見える風景は、煙のせいで、なにも見えなかった。
雷電のブラックも、同じだった。盲目突撃の命令を与えられ、目を閉じて突撃している。
雷電は目をつぶり、鼻に蓋をし、耳を畳んでも全力で走れる。戦闘腕を前に延ばし、さらに細い糸に見える触覚器たちをのばして、地形情報を取得した。

 長い長いと思われた数十秒。
射撃時に砲撃を受けた際と、ウォードレスのヘルメットには強い防音機能が与えられているが、それでも音は聞こえる。外部の音を拾わないようにマイクを切っても、防音機能を越える音や骨を伝わる振動は、カット出来ない。

 その音が、消える。再度バイザーを拭う倖。

砲撃を、切り抜けた。

/*/

 砲撃で大部分のヒトウバンはばらばらに吹き飛んでいたが、全滅した訳ではなかった。
 あちらこちらで上がる赤い光、反実体化する死体を尻目にその下に隠れていた生き残りが浮揚する。

 倖を見つけ、襲いかかった。
そして叩き潰された。
倖はタップしてブラックの感覚器を甦らせると、人騎一体となって白兵を仕掛けた。
もとより数を頼みにしていたヒトウバン、数が減れば一方的な殺害対象に成り果てた。

 しがみつく輝春が力を込める。倖はその肩に優しく手を置きながら、機械的な殺害を開始した。

 ブラックは兄妹を呼ぶために吼えながらヒトウバンを戦闘腕で叩き潰した。
倖はいつもの逆で、苦しまずに一撃でヒトウバンを突き殺した。いつもは急所を外すことを、常にしていた。
 3回も旋回しながら銃剣を突き出せばヒトウバンは全滅し、倖は笑うこともなく、ブラックにジジを探してと命じた。
ブラックは倖の戦果に対して倍する敵を殺害し、まだ殺し足りないようだったが、主人の言い付けに、素直に従った。

/*/

 一方その頃。ゴルゴーンが行った対砲兵射撃の煙を見て國分は地図と付き合わせながら指示を出している。

「こちら201、敵砲兵は北に10クリック」
 震える声を聞きながら、國分君は神経が細いなと善行は考える。
半狂乱になって先内のところへ走ろうとする雪子を組み伏せ、私物の拳銃を雪子の口に突っ込みながら上機嫌で口を開いた。

「こちら100。了解しました。紅さん」
すぐに返事が入る。
「こちら301、紅。了解」
「バウ」
「コガも了解してるみたいですね。突撃開始。狙いはゴルゴーン。護衛は無視していい。101、102は本番の用意を」

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

ナイス
ガッツ(がんばれ!)