NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(43)

 4門の90mm砲は0.1秒の誤差で連続射撃された。

巻き上がる煙。
砲塔型戦車と異なって剥き出しの砲尾から、巨大な薬莢が排出され、地面に転がり、草を焼いた。次の薬莢が転がってきて、ぶつかって澄んだ音を立てる。

剥き出しなのは煙を噴き上げるということでもあった。発射煙によって一瞬機体の姿が見えなくなった。

 1分後、6km離れた場所では連続着弾。
木が、草が、土が、敵だったものが天に跳ね上げられ、悪趣味な踊りのようにねじくれ曲がって宙に打ち上げられた。

爆発する榴弾が、本物の砲兵が使う150mm砲よりはるかに弱いものにも関わらず、見るに耐えないほど大地に暴力の限りを尽くした。 空中を飛ぶヒトウバンは爆風で吹き飛び、空中で衝突し、その先でさらに爆発が起きて何もかもを押し流した。

 國分は、竜造寺達の所に駆け出したくなるのを必死に我慢しながら周囲に目を走らせた。
自分にこんなに強い仲間意識があったかいなと、思った。

くそったれ、くそったれ。幻獣どもめ、善行め。戦争がそんなに好きなら勝手にやりやがれ。なんで俺は俺の国が荒らされ、今は友人としか言いようのないものが味方の砲撃にさらされるところを見なきゃならんのだ。

 短く叫ぶ國分。

遠くの煙。
國分は無線機のマイクに叫んだ。
「201、いた、敵の発射煙! ゴルゴーンもいやがった!」

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 幻獣の名を、ゴルゴーンと言う。
4本足の灰色の化け物である。鳥脚属擬竜科にあり、ミノタウロスの先祖に当たると推定される。ミノタウロスでは退化している機能として肩に大量の生体ミサイルを持っており、これを主たる武器とした。

 射程は10kmを越える。即席の榴弾砲である栄光号の90mm砲などよりはるかに射程が長い。

それらが、十体。横一列に並び、一斉に前足を低くして生体ミサイルを打ち上げた。
斉射したミサイル、その数は200本。それが、小生意気な人型戦車の居たあたりを攻撃した。敵の発射煙を頼りの攻撃であった。対砲兵砲撃である。

フットボールコートで言えば20面ほどが一斉に吹き飛んだ。

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 射撃が、急にやんだ。
先内は身体に伝わる振動によってそれを知ったが、今の先内には音が聞こえない。匂いも、なんだか分らない。目は最初から見えなかったから、お手上げだった。

 ここで敵が生き残っていたら終わりだな。
先内は手榴弾を握った。自分が刺されたら、それが一撃で死ぬものでなかったら、道ずれにして殺してやろうと考えた。

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 先内と竜造寺がいたあたりであがる砲撃の煙を見ていた牧原倖は、彼の雷電、ブラックの足をとめさせた。5秒考える。

小さい子のように前で抱きしめ、自分にしがみついている妹、輝春に言う。
「輝春、良くお聞き。僕に良く捕まって、目をつぶっているんだ。絶対手を離してはいけないよ」
「お兄ちゃん……」
「僕のかわいい妹を助けようとした人物だ」

 牧原倖は腕を振って騎兵銃に折りたたまれた銃剣(バヨネット)を引き出すと、雷電の犬首を翻し、全力で走り、引き返し始めた。
「ここで死なせてなるものか」

牧原倖は妹を風から守って前傾姿勢。
ブラックは飛ぶような速度で山野を駆けた。

 爆発。爆風。駆け抜ける。

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