NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(42)

 一方その頃。
斉藤は、涙目になってドアの前で手を広げていた。
「駄目ですよ。駄目です」

後ずさり。肩が、ドアに当たる。
「絶対駄目でス」
目を強くつぶる。英吏の手が、斉藤の頬に当たった。
斉藤が恐る恐る目を開くと、英吏は眼鏡を取って、斉藤の瞳をまっすぐ見た。

綺麗な青い瞳。目を逸らせない。魅入られる。
「だめです……」
斉藤は自分の胸の鼓動を聞きながら拒否した。
断れない、押し切られると思いながら、それでも目をつぶって呪文のように言った。
「駄目……」
 耳に吐息が当たる。
「頼む。伏して、お願いする」
「貴方は怪我してるんです」
「突撃衝力としての雷電の数が足りなくなる。俺たちがいかねばならぬのだ」

 斉藤の長い脚が震えた。もともと頭が悪いからぐるぐるする。頬は、温かい。
「だ……」
「たのむ」
本能的に斉藤は胸をかばうように手を交差させた。その隙に源が、一抜けした。
しまったと思いながらしゃがむ斉藤、英吏に素足を見られるのが恥ずかしかった。

「いかないでください」
大声で斉藤が言うと、英吏は脚を止めた。
「すまん。そなたが怒られないように、最大の努力をする。決してそなたに累は及ばぬ」
「違います……違います……どうしても、どうしてもいくなら私も……」
英吏は振り向いた斉藤をに静かに言った。
「それは不許可だ」
英吏は眼鏡をかけて元に戻った。芝村らしくどこまでも傲慢に冷酷に笑って見せる。
「こういうものは、好きなものがやればいいのだ。俺は戦争が好きだ。だがそなたは違う」
「でも私は」
「能力の問題ではない。芝村の問題だ。芝村が決め、芝村が戦う。協力には感謝する。礼もしよう。だが言おう。俺は誰の許しもえようとは思わぬ。俺の言うことをきけ。それだけだ」
 さっきまでお願い言ってた次で傲慢にもほどがあることを言う英吏。
だが斉藤は、つっこみいれられずに涙目で英吏を見ただけだった。すごく遠ざけられた気がした。

何を思ったか、優しく笑う英吏。
「そなたはどんなに馬鹿にされても戦うのが嫌なのだろう? 芝村が相手でも信念を曲げるな。生きるということはそう言う事だ。安心しろ、俺の身は紅に守ってもらう」

 そして歩き出した。
「待たせたな健司」
「行くぞ、英吏」
「おぉ」

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