NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(41)

 1分後。
砲兵出身という特殊技能ゆえに、FO(砲撃観測)として丘に登って周囲を観測する國分は小便の出過ぎか、震えながら双眼鏡を見ていた。まだか。 遅いぞ。

来た。

双眼鏡の外で爆発。あわてて双眼鏡を動かす。
地図と見比べる。

國分は無線の送信スイッチを入れる。
「こちら201。101、北に2クリック、東に1クリック流されている」
「100了解。中継します」
善行は部下が死んでもどうでもいいのか。
國分は冷静な返事を聞きながら怖くなる。さっきまであんなに親しそうに話していたのに?

2発目の着弾。木がまとめて何本か吹っ飛んだ。
「今度は南に行き過ぎだ。南に1クリック流されている」
國分はそう言いながら水が飲みたいと思った。喉がカラカラだった。
「先内、次はそっちに着弾する。後1分。後50秒。頭さげてくれよ頼むから。後30秒」

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 先内は砲撃の音が近づいてくるのを感じて、笑っていた。
後は運だね。雪子になにかしてやればよかった。
そんなことを考える。

あと20秒。 そういや、うちに戦車砲はあっても曲射砲はなかったと考える。迫撃砲もなかったよな。

 あと10秒。先内は不思議と平静な気分で言った。
「竜造寺君。まだ痛いとは思うが、砲撃が来る。ジジを」
 苦しそうにうなずく竜造寺。左手の感覚が全然ない。足先が冷たい。自分で自分の肩の骨が見れそうだと思ったが、怖くて見ることはできなかった。
これが格好つけた罰か。でも、ざまあ見ろ、親父殿。貴方の息子は立派にこの国のためになったぞ。

「ジジを助けるんだ」

 先内の声。目が覚める。口を大きく開ける竜造寺。
「伏せろ! ジジ!」

ジジはヒトウバンに食いつかれ、血だるまになっていたが主人の言葉はきちんと聞き分けた。戦闘腕でヒトウバンを突き殺し、主人を守ってその上で伏せた。
耳を畳む。

爆発。
 大きすぎる音で先内の耳がバカになる。
何も見えない、何も聞こえない。
自分がどっちを向いてるかも、わからない。

爆発。爆発。

/*/

「命中出た! どんどんいけ!」
國分の叫びは中継して舞の耳にも届いていた。

4門の90mm砲に適正な諸元が入力され、交互に砲撃が開始される。

 高初速ゆえに平射専用の減口径砲を使って善行は曲射を、榴弾砲の真似事をしている。
もとは熊本で、人型戦車の対空用の高仰角射撃を見ながら、これなら長射程砲撃もできますねと独り言を言ったのが始まりだった。
 砲身寿命が短い減口径砲にそんなもったいないことをさせるられるかと当時は大隊長に笑われたが、今の善行には、常識論を言うバカな上司がいなかった。

「戦車本体の被害と比べれば安いもんです。森の中じゃこっちの方がつかえます」
 そう言いながら、遠くの爆発を聞いて善行は、おもしろくも無さそうに頭をかいた。

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