カウンターアタックのはじまり

 世界のこっち側とあっち側で、似たような作戦を立てた者がいる。

「アテンション!」
 あんこをタオルでぬぐいながら、ブリーフィングルームに顔を出したのは軍神タカツキである。ちなみにアニサリ少尉は自室で大泣きしており、この場にはいない。

注目と言った、ジャッコ・ロイダに微笑みかけ、軍神は口を開いた。

「敵は百万。こちらは手動の船。だがまあそれでも生き残りたい」

「ごたくはいい。酸素の無駄だ。早く言っておくれよ」
最前列の席で腕を組んだまま、口を開くエリザベス。軍神は歯を見せて笑うと、再度口を開いた。

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 一方その頃。

「アーテンションよー」
 あんこをタオルでぬぐいながら、無重量のブリーフィングルームに顔を出したのは復活なったヤガミ・ソーイチローである。ちなみに100人ほどの舞踏子(一部ホープ)はエステル問題のもつれで自室で大泣きしており、この場にはいない。

注目と言った、サーラに微笑みかけ、復活した航海図は口を開いた。

「とりあえずは仲間を助けることに全力をあげる」

「どう、されるんですか?」
最前列の席で見事な黒髪を柔らかく編みながら口を開く桜子艦長。ヤガミは皮肉そうに笑うと、再度口を開いた。

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「攻撃をしかける」軍神タカツキ。
「攻める」ヤガミ。

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 復活したヤガミが最初にやったことは第5世界側に残された戦力の再結集と、OVERSを使わない義体への入れ替えである。弱い義体なら第5世界でも調達でき、ヤガミは動かなくなるよりはいいと、すべての義体を入れ替えた。 こうしてまた艦橋で倒れるヤガミが復活した。

 破壊された時に復活できない点を、ヤガミは無視した。
どうせ戦争というものは、そんなものだと思っている。

「いずれにせよ、捕虜になった者が相当いるはずだ。火星に帰還するついでにこれらを奪還する。このタイミングで攻めてくるとは敵は思っていないはずだ」

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「まあ、百万対百じゃ、絶対向こうは勝ちだと思っているだろうな。それが俺たちの生き残るチャンスだ。虚をつく」

軍神の言葉に微笑んだ知恵者は、あえて口を開いた。

「どうする?」
「まずは敵に俺たちの所在を知られないようにする」
「そのために隠れているんだろう?」横から口を出すエリザベス。

「隠れているから敵も捜索する。見つかれば戦闘。まあ、小部隊相手なら勝てる。問題はその後だ。すぐに敵が寄ってくる」

「どうする?」 再度知恵者は言った。軍神は笑った。
「俺たちのいる場所から離れた場所でドンパチして、そっちに敵を急行させる。その間に船を動かして補給。補給後すぐに相手の司令部に殴り込みをかける」

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「どうせゲートを抜けるために戦いは避けられない。相手は今度もゲートに罠をはっているだろう。俺が敵なら小さい孔を残す。まっすぐ火星に行くために抜けたら、追撃を行う。仮に火星にたどり着いても出口には敵が待ち構えている」

ヤガミは歌うように口を開いた。

「そこでゲート内にとどまって、同地の敵を全滅させる。連絡通路が欲しいのは敵も同じだ。敵は奪還するために大兵力を出してくる。そこを待ち構える」

「1戦は出来ても2戦は難しいと思いますけど」
控えめな桜子の意見に、ヤガミは自分の手を拳で打ち合わせながら言った。

「敵が大部隊でゲートシフトした瞬間にこちらも接収した敵の船でゲートシフトする。このタイミングでなら敵は虚をつかれる。そこだけが我々のチャンスだ」

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二人は別々の場所で同時に口を開いた。

「反撃(カウンターアタック)の開始だ」

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