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zoom RSS NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(15)

<<   作成日時 : 2006/03/23 17:03   >>

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 善行は敵のただ中に突入した。
切れ味が鈍ったカトラスを振るい、その重さと力で敵を切断した。
 雷電と並んで戦うその様は、どちらが獣か判らない姿であった。
歯を剥き出しにして深々と刺し、手首を返して殺害し、死体が非実体化したところでカトラスを回収する。その様は精密作業のようであり、善行はさながら戦争という行為の、その愚かしい行為における一流の職人であった。本業は命令して蹂躙して殺すほうだったが、こうして直接殺すのも、彼は下手ではない。

 善行の隣で嬉しそうに青竜刀で敵を両断して戦う、というよりは遊ぶ結城火焔が、仲間を見る目で善行を見た。

「アゴヒゲ、やるね」
「ありがとう」

 戦いの腕を褒められると即座に不機嫌になるのは善行忠孝生涯の性癖である。
この言葉に、火焔は動揺した。

「怒っている?」
「いえ。別に」

敵が逃げ始める。動物兵器は強いですねと善行は考える。もっとも大事にしないといけないから、戦争に関しては使い捨てが大好きな私にはあいませんねと、善行は思う。

「追撃します。敵を皆殺しにします」

 火焔は即座に善行が敵を殺したりないので善行が不機嫌なのだと理解した。
見事な芸術品でもある青竜刀をくるくる回し、面倒臭そうにヒトウバンの頭にかじりついて引きちぎる己の雷電を見た。
「分った。コガァ!」
バウッ!

コガは走ってくる。その背に見事飛び乗って、追撃を始める火焔。
善行の背後から射撃。英吏だった。ゴブリンを背中から撃つ。
眼鏡を指で押す善行。
我先にと雷電たちが善行を追い抜いていき、殺戮の宴を開始した。一撃では死なず、嬲り殺されるゴブリンが次々と量産される。

 不機嫌そうにその中を歩いていく善行。左手を見る。青い輝き。
そして精霊手で逃げるミノタウロスの頭を吹き飛ばし、そして天を見上げた。青空が戻る。

 英吏は目を細めて善行を観察した後、観察結果を無視して善行万歳と言った。
善行が率いる山岳騎兵達は虚をつかれた後、手を上げて喜んだ。

「勝った、久しぶりの勝利だ」
先内は言い、雪子は消えていく敵から目を逸らして先内の手を握って口を開いた。
「ええ」

「へへ。一人だけど、戦争始まってはじめて人助けられた」
源は、まだ殺せる敵を探しているグリンガムの虎皮を叩きながら、己の仕事に初めて誇りを持った。

「馬鹿みたい」とそっぽをむいたのは牧原輝春であり、その双子の兄、倖はクラスメイトが死ななかったのが良かったと、言った。

紅・エステルは英吏の心配だけをしている。
火焔は大喜びしており、善行の表情を見ようとして、眼鏡に阻まれた。

そして善行は、全部の感情を消して命令を下した。軍人が戦勝で喜ばないでいつ喜ぶのかという態度だったが、善行としては激怒して滅茶苦茶に喚くよりは、ずっといいと思っていた。戦争嫌いの戦争上手。それが善行忠孝であった。

「殺しつくしましたね。では即座に撤退します」
「そうですな。また敵が救援を出すとまずい」
 英吏が即座に言い、皆を見た。さらに口を開く。

「善行隊長の判断は正確だ。喜ぶのは後にして、帰るぞ。紅。女はバルトに乗せてやってくれ」
「わか……た」

凱旋が始まる。

 善行は誰とも話さないようにすごい速度で歩き出したが、英吏はこれに追いついて来た。声が聞こえぬように、口を開く。

「もう少し喜んでもらわなければ困ります。隊長」
善行はまっすぐ前を見ながら言った。ふてくされて。
「そこまでは僕の給料に入っていません」
鼻で笑う英吏。口を開く。
「我々の中には殺し合いを嫌う者は多い。雷電と長く付き合うということは、雷電と幻獣の見分けがつかなくなるのと同じですから。だが、それでは困る。我々が生き残るためです。貴方がその態度では部下が動揺する」
「わかっています」善行は今夜は萌のところに行くことに決めた。
「では、お願いします。隊長」

 英吏は、食い下がらなかった。
まあ、演技については今後磨いてもらおうと考える。
そして、次に思ったのは、上と連絡をとったら勲章を寄越すように働きかけなければならないということだった。

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