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<<   作成日時 : 2006/03/18 14:11   >>

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 知恵者が手ずから建造したRBは、そう多くない。
慈愛号(小村佳々子)と、太陽号(陽子)、雷鳥号(暁ゆかり)、聖紫号(朝日野あやめ)、閃光号(東原希望)、皇帝号(シオネ・アラダ)だけである。
いずれも娘の守り刀として建造され、彼女達の誇りを守るためだけに使われた。

一方、量産型として設計されたアデリーを除くと平穏号、希望号、武勇号も、既存機の改修型ばかりであり、これらに男が乗っていることを考えると、知恵者が男(婿)をどんな風に扱っていたかが、大体分かる。結局のところ娘マイラブである。


 白いオーケストラ作戦の裏で火星大侵攻が始まった時、知恵者に残されていた娘とRBは陽子と太陽号のみだった。

もっともこれとて知恵者が望んだわけではない。

 戦いを前に知恵者は穏やかに娘が幼い頃にそうしてやっていたように陽子の縮れ気味の髪に触れ、夜明けの船を降りて幸せを探しにお行きと言ったが、陽子は嫌がって私の幸せはここにありますといい続け、それで結局、夜明けの船に残って戦うことになっていた。


 陽子は幸せそうだった。ブレイン・ハレルヤを使わなくても、どんな薬物を使わないでも、実際幸せだった。
強く望めば父が折れるということが、嬉しかった。どんなことも望めば聞いてくれる人がいるという事実が、彼女を幸せにした。しかも他の姉妹はいない。独り占めである。


 一方、知恵者は知恵者で、渋い顔をしている。可愛いのに、こんなに可愛いのに少々行き遅れの感のある愛娘が一向に男に興味を示さないので、その行く末を火星の危機どころでないレベルで心配していた。実際婿候補が出れば盛大な嫌がらせをするに決まっているのだが、知恵者にとってはそれとこれとは矛盾しないようであった。父の心は、自分勝手で複雑である。

 生死の境にいるにしては暢気な話であるが、この家族は、状況に関わらずだいたいそんな感じである。あまりにも危機に慣れすぎていて、感覚が麻痺しているのかも知れなかった。

 陽子は、少女のように微笑んで夜明けの船の通路を歩いている。
首をかしげて上気して微笑めば可愛らしく、通りすぎるハリーが、顔を赤らめた。

薬が切れたか、彼女の特徴である煙るような表情が消え、本来の極端から極端に移る豊かすぎる表情が戻っていた。

 長い髪を歌いながら編む。もう一人の父から教えてもらった歌。
RBが出払って寂しくなった第2ハンガーに入り、太陽号を見上げる。黒いRB。

 陽子は幸せになる薬達をピルケースごと投げ捨ててRBに笑って見せると、RBに乗り込んだ。
大胆にシートに跨り、スロットルを握る。父の歌、父の機体の抱かれて、悪魔的に笑ってみせる。直後に見せるまがいものでない幸せを手にした女の表情。

「さあ、いくわよ」

陽子はゆるやかにトポロジーレーダーを起動させると、暗い海の中からゆっくり機体を浮上させていった。

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4時間も海流に流され、2時間航行した。予備タンクを切り離し、太陽号は夜明けの船から遠く離れた海域で行動を開始する。

 陽子は敵の細やかな水中無線を聞いていた。もう、暗号化すらされていない。
完全に勝ったつもりの間抜けな男達。

私のお父さんをいじめようとする悪い人達を叩き潰す。

 陽子は笑うと、相手が恐怖の叫び声をあげる時間を与えるために一瞬まって絶対物理防壁を展開させた。

2基のジェットが推力を発生させ、4機のロケットが初期加速を与える。

 水中速力700kmから4隻の潜水艦が立て続けに真っ二つに切断された。
波を消滅させながら歪んだ向こうを見せるシールドが海面に現れる。飛び魚のように水面から現れて跳躍する太陽号、3kmを跳んでその間に8機の敵RBと対潜哨戒機を撃墜した。

 着水。水の上を滑る3秒。シールドを傾けて機体を急速ターン。
コクピットの中で髪を浮かす陽子は、お父さんになんのご飯をつくってあげようかと考えた。

この速度だと水面はコンクリートの床のようになる。水面を蹴ってまた跳躍。ターンして跳んだ。2機撃墜。水中に落ちて沈みゆく太陽号。

水面に、静けさが戻った。

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