NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(8)

 甲高い音と、人目につくピンク色の煙を最初に見つけたのは、当然のように動物兵器だった。

鳥型の動物兵器、89式隼の”息吹”は、丸い目をさらに丸くして、じーと煙を見た後、翼を広げて梢から滑空すると、寝ている兄にキスしようとしていた妹の牧原輝春の肩に軽くタッチして羽ばたき、上空を旋回しはじめた。

 目を覚ます兄を押しやって立ち上がり、綺麗な顔に不機嫌の上嫌そうな表情を浮かべる輝春。

 押しやられたまま、目を覚ます兄、牧原倖。起き上がって口を開く。
「輝春、僕に変なことはしなかったかい?」

輝春は冷たい、と言うには温度がありすぎる目で兄を見た。視線をそらす。
「誰が。バカじゃないの。兄貴」
「寝ている僕を押したように思えたけど」
輝春は兄をにらんだ。
「間抜け面がむかついたから押したの」
口に手を当てて優しく笑う倖。
「小さい頃もそうだったね。輝春は」
「ちょっと先に生まれたくらいで自慢しないで」
兄が笑うのをやめないので、輝春は視線を反らした。ちなみにこの二人、双子である。
「それに、私はもう子供じゃない」
「子供はみんなそう言うんだよ。うん。救助信号だね」
「見れば分かるでしょ、バカ兄貴」
「ブラック。おいで」
 主人よろしく、影で大人しく寝そべっていた黒い雷電が、大あくびして近づいてきた。
何か殺すの?という顔で寄ってくる。
煙るような表情でブラックの首筋を叩く牧原倖。またがる。

「輝春、乗って」
「言われなくても分かってる!」

 しっかり兄につかまる輝春。雷電のブラックは、二人乗りは嫌だなあという感じで主人を見た後、仕方が無いので走り始めた。

 隼の息吹は誘導するようにブラックの先を飛んでいる。

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 一方その頃。ほぼ、同時。

柱空歌がやった源の服の洗濯を、一人全部やり直した金城美姫は、屋上にいた関係でピンク色の煙をいち早く見ることになった。

直後に目を細めて振り返って走って木製の階段の手すりの上に座って滑って最後はジャンプして綺麗に着地した。両手をあげる。

目の前には、善行がいた。

「救難信号。源のよ」
 至近距離で話されるのが苦手な善行は、二歩下がった。
「分かりました。今、先内くんからも連絡がきています。すぐ急派します」

 ズボンどころかパンツを引っ張りあげながら全力で深澤が走ってくる。
トイレだったらしい。手には貴重品のトイレットペーパーが大事そうに握られていた。

「私たちもいく」勇ましい金城。

こめかみを押さえる善行。口を開く。
「駄目です。全力出撃は許しません。この村をがら空きにするわけにはいかない」
深澤が猛然と口を開く前に金城の瞳が獲物を狙う雷電のように輝いた。
「アゴヒゲ、アゴヒゲ抜くわよ」
顎鬚を守りながらさらに下がって口を開く善行。
「貴方は整備兵です。深澤君も」
「関係ないわ」
「そうです。関係ありません!」
 二人が言う間に、後ろを竜造寺とエステルが走っていく。
竜造寺の襟首を捕まえながら口を開く金城。竜造寺の雷電に同乗するつもりだった。
「ダチの出入りに出て行かないような金城じゃないのよ」
深澤がようやくベルトを締めなおして言った。
「僕は認めてませんけどゲンさんの舎弟ですし」

 視線をさまよわせる善行。
「それで本当に出撃の理由になるなんて思ってるわけじゃないでしょうね」
「なるわ」
「なります」
「一応理由をどうぞ」
「だからダチの出入りに出て行かないような金城じゃないのよ!」
「僕はゲンさんの友達のつもりなんです」

善行は、あきれるか笑うか迷った後、素直に優しく微笑んだ。
話は終わりと言う風に手を振った。
「竜造寺君は待機。……まだ戦いと決まったわけじゃありません。だいたいウォードレスもたりない」
「おたまでだって戦える」
「僕は爆発物を使えます」
「そういうのは大事にとっといてください。それに、味噌汁をついでくれるのがなくなると困る。とりあえず、待っていてください。ひどいことには、絶対しませんから」

 最後の方は全力で走りながらの台詞であった。熊本城攻防戦の英雄も、娘っ子には弱い。
金城は竜造寺を投げ捨てて地団駄を踏んで悔しがった、

「後で絶対いびってやるんだから!」

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