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zoom RSS ヤガミの死(白いオーケストラ・ダイジェスト)

<<   作成日時 : 2006/03/13 01:14   >>

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 ソーイチロー・ヤガミは数多の守護妖精を持つ銀河の守護者である。
妖精達はそれを言われると揃って皆嫌な顔をするが、これは、指摘されればきっと嫌な表情を浮かべるヤガミも同じことである。実のところ、中々お似合いなのである。

 それでも、もしヤガミが、本当にそれが必要なのだと青く輝く瞳を向けてその手をさしあげればその守護にして火星の風妖精達は次々と世界を越えて光臨して相手が経済システムだろうと巨大な軍産複合システムだろうとネーバルウイッチの大軍だろうと文句なく戦ってこれを撃滅するだろう。ヤガミの本気は妖精たちの本気であり、これは物理限界を完全に突破した妖精たちの戦いによって多くが証明された。

この点、縁戚の矢神斉一郎に良く似る。
違うのは斉一郎が絶対君主制における守護者であるのに対して、ソーイチロー・ヤガミは民主主義体制下における守護者という点であった。

 どれだけ部下を使い潰しても前に進む必要があるのならそれを断行する斉一郎に対して、ソーイチローはそれが出来ない。迷って回避方法を探し、最悪の結果に転がり落ちることも多い。白いオーケストラで12月中旬くらいで咲良か谷口を殺せば良かったのに妖精=舞踏子の涙を見たせいでサーラを呼んだり世界移動させたりする回避方法を探し回ったあげく大敗を招いたのは、彼の参謀達もさることながら、基本的にはヤガミの責任である。

かく言う次第で君主や指導者としては明らかに落第のヤガミだが、人気はというと、全然逆で、ヤガミのほうが高かった。
 妖精達の多くは、それはなぜかと理由を尋ねるとへそをまげて口をきいてくれなくなる。彼女達がヤガミを愛するのはきっと込み入った理由なのだろうし、ひょっとしたら妖精達も、あの男の何がいいか、分かってないのかもしれなかった。

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 白いオーケストラ事件、すなわち2252年の火星世界(絢爛舞踏祭世界)の遠い過去にあたる2000年2月の幻獣戦争の最中の青森(ガンパレード・オーケストラ世界)に対して行われようとしているセプテントリオンの歴史改変を阻止する軍事作戦については、サウドや知恵者が強く難色を示した。知恵者は、世界には過ちがあっても修正する能力があるから心配はいらないといい、サウドは宗教上の理由から今を懸命に生きようとする者に将来あるかどうか分からない話で裁きを与えるなど傲慢がすぎるぞ、ヤガミと、怒鳴った。 珍しいところではカオリや、武人の鑑とされる泣きのハリー・オコーネルやその部下で、知恵者を友達と呼ぶマイケル(ミカ)・コンコード、クリサリス・ミルヒも反対に回っている。
 とはいえ、知恵者もサウドも普段は子供の面倒見るくらいしか仕事をやってない関係で夜明けの船では威信なく、ハリーは新参者であった。結果、出兵が決定されて最悪と言われる戦いがはじまることになる。
 戦う前から戦力が割れていたのだから、勝つものも勝てないのは道理である。

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 目標は一組の男女の殺害である。名前を谷口竜馬と、石田咲良という。
歴史改変の結果、恋人である石田咲良の死後、谷口竜馬が化け物になって世界を滅ぼしにかかるという、そういう情報だった。
実際には谷口竜馬をターゲットとして作戦が実行された。

 舞踏子によって性格がこっそり丸くなったヤガミとしてもサウドの怒りには思うところあったが、最終的には数の論理が彼を決断させた。一人の死で百年の平和が保たれるなら、なんの問題もない。昔のようにそう言い切った。

 そう言いながらも甘いのがヤガミである。最初彼がやったのは、セプテントリオンの工作員、フットワーカーを見つけてこれを倒すことであった。介入が終わっていないのであれば、この手で改変を阻止できる。 そしてついに、尻尾をつかむことが出来なかった。

 それならばと適当なところ、たとえば12月中旬くらいでこの方法を切り上げて咲良か谷口を殺せば良かったのだが、その後彼が一番弱いとされる女(具体的には舞踏子)の涙を見たせいでサーラを呼んだり世界移動させたりする回避方法を探し回ったりして結果として問題の先送りをしてしまった。

小さい邪魔もしてみた。たとえば横山や工藤をけしかけ、谷口竜馬と、石田咲良がちょっと喧嘩したまま別れの時を迎えれば、それで問題は解決するはずだったからである。
実際に実行もしている。そして失敗した。そのプランを聞いて希望の戦士(青の厚志の絢爛舞踏祭における名称)が二人の関係を偵察にいって確かめた時点で駄目だよとヤガミにその線はないと伝えていたにもかかわらず、ヤガミはそんなことはないと、作戦を実行している。
 ヤガミは、自分の稚拙な恋愛観で物事を見ていたせいで完全に事実を見間違っていた。ことの最初、出会った瞬間から谷口は咲良を、咲良は谷口を好いており、単にそれが周囲に大変分かりにくいだけだったのである。もっともこちらは本人達も良く分かってなかったから、責めるのは酷かも知れない。

 全ての手は絶たれた。それでもヤガミはバレンタインデー後数日待って、谷口を殺害にかかった。
その時まで二人で過ごさせたいと考えていたのである。(これまた稚拙な恋愛観の産物である。もっとも、彼は故郷の風習を話す時にことさら力強くバレンタインデーを語るぐらいだから、なにかバレンタインデーに恨みがあるのかも知れない)

それまでの数度の小競り合いから、情報を集め、谷口の殺害には狙撃と言う手段を用いて、これを行った。計画は完璧、その上で舞踏子を外して手を汚すことをあえて選ぶ人間達を選んでいる。自らも、責任を取ると言って出た。

そして大敗した。本当の歴史的にはその日の午後、咲良を守って世界移動する谷口に対する攻撃を、世界は極度に嫌がった。知恵者が言ったとおり、世界はたった数時間の歴史改変であっても己の尊厳と一組の男女を護る為に全力をあげて異物と戦っている。谷口は世界決戦存在と化してヤガミ達を前にして、これを完全撃破した。

 ヤガミ達がこの段階で殺されなかったのは、谷口がとんでもない生意気娘(配備時の咲良)に一発で恋するくらい人の言動を無視して良し悪しを判断するという特技のせいによる。

ヤガミは生き残り、捕虜になったと思われたエステルもひょっこり戻ってきた。
そして悩みが深くなった。本当に谷口が世界を滅ぼすのか、分からなくなったのだった。
だが舞踏子の未来予知は相変わらず、恋人である石田咲良の死後、谷口竜馬が化け物になって世界を滅ぼしにかかるになる。
 ヤガミも舞踏子も参謀たちも、未来予知の文章を、完璧に読み間違えていた。

そこから先は、何もかもが混乱していた。
1時間しないうちに、火星に敵が出た。
これは罠(陽動)だ、谷口達を害する必要はないと聞いて、間抜けながら罠に引っかかったことを間接的に喜んだのは多くの舞踏子達だが、ヤガミやセラも、ことの他喜んでいた。

そして舞踏子達に連れられてまんまと撤退をし、そしてエースキラー2機を中核としたRB部隊200機に撃破されている。参加80に対して死亡・あるいはロストの数51(死亡確実48)という成績は、記録的完敗、と言ってよい。

ヤガミは、この戦いで、死んだ。

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