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zoom RSS 白いオーケストラ外伝1 回廊突破戦 3月4日

<<   作成日時 : 2006/03/12 13:05   >>

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 是空とおるは祈っている。なにもかもが罠だと気づいたのが2月27日。それから、胃がきりきり痛むほど悩んでいる。

 敵はゲート上に展開して空間戦をするつもりだ。

知識は知っていても、是空は空間戦をしたことがない。是空が手配した冒険艦”大蝦天号”の乗組員もそうだった。実際空間戦をやったことのある味方の古強者は、晋兄か桜子さんしかいないに違いないと、是空は思う。 自分を抱いて震える是空。ああ、俺の心は原さん一筋だけど桜子さんもいい。何に震えたかは謎である。

 多分空観戦は罠だ、必ず大敗する。
是空はそう思っていた。しかし皆を説得するには情報がない。なんと言っても世界の謎が全然分からない上に裏方専門である是空とおるは、直感だけを理由に、これは降りたほうがいいと皆を説得できる自信がない。根拠を示されたら「勘です」以上にいいようがない。世界の謎を勉強しとけばよかったと思う是空。そう、これ生き残ったら本でも作ろう。

 そもそも本当に罠は一つしかないのか、実はもう一個あるんじゃないか。黒幕は誰だ。その周辺にこそ最大戦力があるんじゃないのか。

 胃がじわじわと痛くなる。
是空は、まさが自分の胃が痛くなることがあるとは思ってもいなかった。
胃が痛い。仕事では胃が痛くなったことなんてないのに。社会人としてどうかと思うことを考える是空。


 望みは、速く気づいて冒険艦の手配をしたことだけ。
速度が命だ。敵部隊の展開が終わる前に通り抜けられれば、どうにかなる可能性もまだある。

 振り向けば虎のかぶりものをした謎のプレイヤー”とよたろう”と希望が、パック入りのお茶を配っている。

 月野マコト艦長が、それを受け取って微笑むと、是空に言った。
「そう悩むな。人間、死ぬ時は死ぬ」
「それが嫌だから悩んでいるんです」
なんで軍人さんはこういう感じが分からんのかなあと是空は思った。あるいはマコトさんがそうなだけかも知れないが。

「敵、発見」
 オペレーターがわりに席につかされているR−2が言った。名前はロボットみたいだが、中々可愛らしい女性型アンドロイドだ。中身がどうかは、分かりかねる。
是空を見て、言葉をそのまま続けて
「エースを守るのが介添人の役目、大丈夫ですよ」
と言う。

 黙る是空。
 実は是空は好意を直接向けられるのが大の苦手なヘタレであり、黙って単独でここまでやって来ていた。
が、勘のいい4人に気づかれて一緒にここまでやってきている。それがまた、彼の胃を痛くしていた。たった4人の身を案じるだけで、彼は3月2日、本当に寝れていなかった。
 外れたら罰ゲームのような小説がさらされる。そう思い込んでいる。

 希望からお茶を貰って本当に嬉しそうな木蓮が、うんうんうなづいて、追い討ちした。
「エースには勝てませんが精一杯助力致します」

うっ、と言って、顔を青くして傾く是空。ちなみにゲームの2時間後に電話して部下に看病しにきてもらっている。
猫屋敷 兄猫が、是空さんはこんな時にもギャグが出来てうらやましいと言って、最後の止めをさした。

「敵、RB射出。数、16くらい。新型」
R−2が目を細めて言った。
「16くらいとはなんだ。はっきりしろ」
マコト艦長は、死ぬ時は死ぬと己に繰り返しながら言った。
「くらいとしか言えません」
短く言い返すR−2。
「速い。すぐ追いつきます」

マコト艦長はフライトエンベローブマップを投影してため息一つ。どう言う航路でも7分後には戦闘になる。口を開いた。
「温存したい希望の戦士をいれても6対16か、水中戦装備を外すと何機になる?」
「2機です。是空さんの”モトコ”と木蓮のグローリーだけ」
お茶をくばりながらすらうすら話すとよたろうの返事に顔をしかめるマコト艦長。
3秒考えて口を開く。
「動かぬ石のタヌキだな。どうするか」

 後ろから声。
「任せてもらおうか」
「そうそう」

 キャプテンシートから身を乗り出して後ろを見るマコト。是空達も後ろを見た。ブリッジの狭い入り口に、二人ののっぺりした男が立っている。まだ義体に慣れていない感じ。

「貴殿は?」
 見知らぬ人間がいつの間にか船に乗り込んでいることに驚愕しながらマコトはそう言った。
二人は、微笑む。

「おせっかい」
「おせっかい」

「は?」マコト艦長。
「キイクニは弟みたいなものでね、介入しにきた」背の低い少年のほうが言った。
「これくらいじゃ俺達はでてこないんだけどねえ」筋骨隆々の男がのんびり言った。

 二人で笑ってみせる。
「んー。まあ、そうね。気にするなよ。いいから、ここだけはまかせて」
「そうそう」

二人はあいまいに笑って手をふると、歩いていった。

 取り残される是空と4人。

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凄い速度。

ユイリードとJ・J は目を見開くと、機械仕掛けの己の体を確認して、そして空間戦に突入した。

カーゴが開かれ。両手を広げた二人が、後ろに足を踏み出した。艦の外へ。慣性の法則で相対距離はなかなか離れない。

 噴射。遠くから見える青い光。

青い光ふたたび。

そして二人は、追って来るエースキラーたちの姿を見た。相対速度差秒速8.9km。時速換算だと3万2千kmほどになる。

全てが流れて白く輝いていく無限に長いトンネルでの戦闘、それが空間戦である。

 目を見開きすぎているとすぐに空間に対する位置感覚を失調する。
だから二人は目をつぶり、未来予知する。とじた瞳に見える風景が、本当の空間戦の風景だ。

「えらく古い機体だな。八本腕なんて」
「アホだな」

 エースキラー十六体は次の瞬間に殲滅された。木の葉のように舞う二人によって、回避され、同士討ちになったのである。

「強すぎなんだよ」
筋骨隆々の男J・J は鼻で笑ってそうつぶやいた。

「だから最弱になる」
少年型のユイリードは、哀れんで言った。

 次の瞬間には敵に残った最後の戦力、母艦である20km級偵察艦がシールドを展開できずに破片に突っ込んでばらばらになった。

「こちらユイリード。コールサイン、”ワールドクライシスオンパレード”任務終了した。これから次の任務に移行する。……火星のことは彼らにまかせよう」
「俺達は本番いきますか。なに、セプテントリオン本部が壊滅したって?」
「たぶん」

 二人は自爆シーケンス作動。爆散して介入を終了した。

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