NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(5)

特に注意書き 今回の内容には残虐表現が含まれています。
 なお、ゲーム版ではCERO12ですから残虐表現は抑え目です。


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その時、グリンガムの目があっちこっちに動いた。
クイーンオブハートが戦闘腕を解いて優しく英吏の背に触れる。

それで、英吏は、眼鏡をとった。
目を細める。

「健司」
「ああ、グリンガムが落ちつかねえ」
源の言葉にうなずく英吏。

「クイーン、敵を探せ」
クイーンオブハートが鮮やかに攻撃色に変わる。毛皮の中に隠れていた触覚が動き出した。

英吏の耳元で美しいクイーンオブハートが小さくうなって見せた。愛をささやくよう。
英吏は当然のようにクイーンを無視すると、源に対して口を開いた。

「ゴブリンが4 ミノタウロスが2」
「どういう編成だ。移動中か」

 英吏はクイーンのうなり声を聞いて口を開いた。
「なにかを探してるようだな」
「村を探しているのか」
「その可能性は高いな」

 英吏は本性を見せた。職業として食いもしない殺害と闘争のための闘争をすることを選んだ、本物で最低の生き物の顔だ。

英吏は、音もなく笑っていた。
「武器は」
源は後ろ腰のホルスターから、年代物の巨大すぎる回転式拳銃を引き抜いた。
古いライフル弾を使い、重量は2kgを軽く越える。

「親父の拳銃。弾は6発だ」
「俺は自決用の手榴弾だ」
「へへ、お前にそんなかわいい趣味があるとは思わなかったな。女に譲ってやれよ」
「最悪でも引き分けにするための用意だ。一人では死なん。どうする」

源も、笑った。
「決まってるだろ」
「仕方あるまいな。無駄な戦いは好きではないのだが」
眼鏡を胸ポケットに入れる英吏を、源は面白そうに見た。
「顔、笑っているぜ、お前」
「理想は理想として現実を楽しむのだ。俺は」

 二人は同時に雷電の背から降りた。
茂みから林に入り、走る。手信号。 主人と離れたグリンガムとクイーンオブハートが緩やかに迂回移動を開始する。二匹とも気性はさほど荒くもなく、敵に即座に向かっていったりはしない。

 ゴブリン。

気味の悪い赤い一つ目を英吏と源はそれぞれナイフで斬り殺した。
首筋を裂いてその一つ目に突き刺している。

これらのナイフは軍の正式装備ではないが、山歩きには必須のため、山岳騎兵は贅を尽くして(山中では使い道のない給料を注ぎ込んで)この装備に良いものを揃えていた。

 英吏のナイフは何でも最高で身を固める彼らしく、有名な刀匠が鍛えた30cmの刃を持つ日本刀しつらえのものであり、源のものはアメリカ製の大型で強靭なステンレスのサバイバルナイフであった。

 それが、一人に一匹の割合でゴブリンを殺した。
消えいく死体を見ることもなく、また走る。

血の匂いで興奮したか、遠くでグリンガムの叫び声が聞こえた。
何もかもを殺すような、大型戦闘獣の叫びだ。

 可愛い奴じゃねえかだと源は笑った。んじゃ、運動させてやるか。
「釣りで狩るぞ」
「了解した」

 次のゴブリンは野原を走っていた。
横合いから現れ、源は拳銃を抜いてその下腹をぶち抜いた。

気持ち悪い声をあげて下半身を吹っ飛ばされたゴブリンがのた打ち回った。

上機嫌でガムを噛み始める源。のたうち回る様を見て鼻歌を歌う英吏。
 助けの声だか悲鳴だかの声を聞いて、森を迂回するように9mもの巨大な灰色の体が現れる。

ミノタウロス。気持ち悪い牛がたちあがったかのような人型の幻獣。
英吏と健司は、二人して皮肉そうに微笑んだ。

「殺せ! クイーンオブハート!」
「殺せ! グリンガム!」

2匹のミノタウロスの腹が食いちぎられた。

あからさまに遊んでいるグリンガムが舌を見せてミノタウロスの足を円になって走り始めながら右足だけを食いちぎり始める。動かなくなって暴れるだけのミノタウロスに飽きて心臓を戦闘腕で突き刺して殺した。

クイーンオブハートは前のめりになったミノタウロスの首筋に食いつき、引き倒し、その肉を食いちぎってミノタウロスの顔がなんだか良く分からなくなるまで噛み千切った。

 残るのはゴブリン一匹。英吏はクイーン。残さず食えと命令して逃げるゴブリンを背中から貫いて食い殺させた。

 戦闘を終えた二人は、速やかにまだのたうちまわるゴブリンに謝って止めをさしてやると、上機嫌のクイーンオブハートとグリンガムを行儀良く座らせ、殺した敵に黙祷をささげて敬意を表した。

 人間と動物兵器の違いは、殺したあとの僅かな偽善的行為の有無である。
常識人が話を聞けば反吐を吐きながらたいした違いじゃないと言うであろうが、その通り違いがほとんどないゆえか、動物兵器を使う源も、英吏も、人であることにこだわっていた。

 他のどの部隊よりも獣に近しいために、彼ら山岳騎兵は人と獣の違いにこだわる。

特に最強種の動物兵器である雷電の乗り手は、雷電と一緒に食事することもしない。雷電が子供の頃以外は、一緒に寝ることもしなかった。
 時折、愛深い故に女が、雷電をかわいがるあまりに人の道を踏み外すことがあって、これを英吏も源以下の男全員が嫌っており、だから雷電に乗る女は部隊でもエステルと結城火焔しか、いなかった。前者は人手が足りない上に外国人だから雷電の乗り手に選ばれており、後者は雷電に育てられていた。

「さて、どうする。戻るか?」
 伏せた目を開けて、いつものように後味が悪そうに源は言った。
「いや、もう少し調べたがいいだろう。敵が一部隊だけとは限らない」
 冷静そうに言う英吏。いつか、何を殺しても次の瞬間には普通にボール遊びをねだる雷電のようにならないかと、そう思った。頭を振った。
「それに先内はいいとしても、荒木や柱は殺しも、その匂いも好かん。汗と小便の匂いがするまで、あちこちを走ったがよさそうだ」
「ちげえねえ」

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