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zoom RSS NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(4)

<<   作成日時 : 2006/03/08 12:26   >>

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 食事が終わり、肩を怒らせのらりくらりと歩く源に、後ろから声をかける男があった。
「健司」
「英吏、どうした」
 芝村英吏、だった。薄いフレームの眼鏡をかけた金髪で鋭利な目つきの、デブである。
最後のがなければもてるんじゃねえかと源健司は思うが、奴がもてるのも面白くないので、何も言わなかった。

英吏が、並ぶ。
「村外警戒に出るんだろう。俺も行く」
「ちぇ、雪子ちゃんとラブラブデートだと思ったのによ」
「荒木には、作内の世話をさせてやりたい」
「作内に介護なんていらねえよ。目が見えてないが、あいつは俺よりも見えてやがる」
「俺もそう思う。だが荒木は、作内の世話をしたいのだ。さすがの芝村も、人の愛までは干渉できぬ」
「お前、一々言うことが面倒くせえんだよ。はっきり言えよ。雪子ちゃんの力になりたいって」
「荒木でなくても俺はそうする。他の誰がそうだろうと、知ったことか。芝村は芝村の理屈で動く。他人がどうかは関係ない。今回はたまたま、それが荒木によって良い方に転がっただけのこと。明日、俺の理屈で彼女が敵になれば、俺は同じ口調で奴を殺害する指示を出すだろう」

 源はそれが面倒くせえなんだよと思ったが、別のことを言った。
「ハン。まあなんだっていいけどな。いこうぜ、英吏」
「ああ。安心しろ。俺のクイーンは、航空偵察よりも早く敵を見つけられる」

 窓の外、木造の校舎によりそうように巨大な動物兵器が寝そべっている。
名を、雷電と言う。
窓を開ければ、純白のクイーンと、虎皮のグリンガムが、同時に顔をあげた。
窓から同時に飛び降りる二人。

ゴロゴロゴロと喉を鳴らして巨大な額をなでてなでてと差し出すグリンガムを撫でて、源はその背に乗った。
クイーンは優雅に立ち上がると、何の音も立てずその背を英吏に差し出した。女王が褥に誘うようだった。傲慢にその背に乗る英吏。

二匹の雷電が立ち上がる。緩やかに歩き始め、続いてだく足、そして早足にうつる。
時速50kmほどで、揺れに揺れたが、二人はそんなことを、気にしていない。

二人並んで腕を組んでいる。
グリンガムが、父ちゃんは何話しているのかしらと、目だけを上に向けた。

源は口を開いた。
「善行って奴はすげえな」
「ああ」
前を見たまま返事する英吏。

源も前を見たまま、また口を開いた。
「敵のど真ん中にいて、花見を楽しむかのようなあの笑顔だ。すげえ男だ。冴えねえ奴だと思っていた俺が悪かった。英雄って奴は、本物はああなんだな」
「ああ。俺もそう思う。自分達の生き残りが定かでない時に他人を心配できる男だ。どんなに困難でもなお闘おうとする男だ。奴を隊長に推挙した俺の鼻も高い。隊長にならなかった俺は正しかった。俺はあの男の下で戦うのだ」
「お前が人を褒めると調子狂うな」
「茶化すな。健司。俺は英雄に敬意を払っているのだ」
「そうだな。すまねえ。俺もああいう男になりてえもんだ」
「なるのだ。これから。俺とお前で」

 源は笑った。英吏は笑わなかった。そして二人で、前を見た。

源が笑いながら言った。
「そういや、食事当番の奪還はどうだった」
笑わない英吏。
「駄目だった。男女平等という概念がうちの女達はわかってない。文句を言ったら、だったら私たちも牧原妹や結城のように銃を持たせて前線にださせろと理不尽なことを言われた」

うなずく源。女は理不尽だ。特に金城は。
「なんで薄味なんだ。濃いほうがいいのに」
沈痛そうに身動きせずに言う英吏。
「ヘルシーに毒されすぎだ」

何か面白かったか、源は笑って口を開いた。
「へへ。んで、金城に蹴られると……」
自分の経験である。英吏は、首を振った。
「いや、神海だ。痩せろと言われた上にさらに塩分を減らせと言われた。最悪だった。向こうの理屈が正しいので文句が言えん。それに俺は泣かれるのが好かん」
「さすがの英吏もぐうの音もでねえか」
「ぐう」

 組んだ腕を解く源。全力で英吏を見る。
「……お前、いつかそのつまんねえギャグで人殺すぞ」
「この部隊で残念なことが一つある。それはこの崇高なギャグを誰も理解しようとしないところだ」

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