戦闘詳報4 谷口説得部隊 戦闘開始前2


 谷口は包みを受け取って、もう二度と工藤が見ることが出来ないと思っていた笑顔を向けると、黒い服を脱ぎ捨て、懐かしい、どこか間抜けな緑色のジャケットに袖を通した。

「すまん。いってくる」
嬉しそうに背を向ける谷口。そこで工藤は涙を我慢できなくなって、その広い背を見ながら泣いた。

ずっと最初から、二人を見てきた。
二人の幸せこそを願っていた。
親友を好きになるのは最低だと思っていた。幸せを願ったその口で、同じ人の死も願った。

谷口が足を止めようとしたので、工藤は急いでと言った。
もう時間は、あまりない。

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 命からがら逃げ出してきた火星独立軍の首領、ヤガミを追って主戦場に現れたRB”エースキラー”は、2体である。
空間戦の実験に供されたものと違って無人化されていたが、これもまた、実験のうちであった。無人でも、通常のRBの100倍を越える戦闘力がある。

ここで得られたデータが良好なら、……青やワールドオーダーを倒せるのなら、この機体は本格量産に入る予定である。

どの陣営にも組みせず、破壊の限りを尽くし始めるエースキラー。
ゆっくりと本部、そして病院に至るルートを歩き始めた。

 戦いが、始まった。

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 見慣れない人型戦車が敵味方の区別なく叩き潰しながら本部に向かってくると報告を受けた工藤は静かにうなずいて立ち上がると、谷口を説得しに行っているであろう部下を連れに、主人なき隊長自室へ行こうとした。谷口が脱ぎ捨てた自分には大きすぎる黒いコートに袖を通し、抱きしめると、ドアをあけた。

執務室のドアを開ければ18名の工藤ファンクラブの兵が鈴なりになっており、工藤は驚くことになる。

 ちょっと泣いていた工藤を見て、ファンクラブの士気は、沸点に達した。
不謹慎だがその姿は美しい。どうでもいいがこの18人はゲーム遊んだ上でこのコースを選んだ本物のアレであり、越えてはいけないボーダーラインを揃って飛び越えていた。

その中の一人、mofoidsは「やあ、親切の押し売りに来たよ」といい、朱和に横から押されて、転倒した。
変わって一歩前に出た七海 航(わたる)は滅茶苦茶気合の入った敬礼をすると、
「自分達がここにいるのは貴方の盾になるためです。絶対に護ってみせますとも!」
と請合った。

その隣で三島浩行は感涙して
「ああ、これで、僕がここに来た理由の半分は達成だ……」
と言った。おそらく全参加者の中で、もっとも控えめな台詞であろう。

彼はこの台詞とは裏腹に、4連続で6を出して驚異的な奮戦を演じることになる。

まとめるように吹上龍次が顔を出し、「無理はしないほうがいいですよ。無理せず精一杯やりましょう」と言った。

本部でも戦いが始まったのは、そこから10分ほど後のことだった。

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