NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(38)

 工藤百華は朝早く登校するのが好きである。
なんとなく得をした気分になるからだった。ついでに言えば、この頃は野口とあまり、顔をあわせたくない。

 作り物ゆえに綺麗で長い金髪を揺らして、工藤は鼻歌を歌いながら歩いている。
ちなみに歌は昔好きで今も好きな女性歌手の歌である。

この身体にもいいことが一つだけあるな。工藤は思った。カラオケで女性ボーカルの歌が好きなだけ歌える。

立ち止まり、首をかしげる工藤。

雪の中を一人正座している谷口がいる。

ここは本当に変態が多いなと、自分の事を棚に上げて思う工藤。
しかし谷口が泣いていたので、あわてて近寄った。

 男が男泣きしているところを見て心が締め付けられた感じがしなくもなかったが、工藤は空気が寒いせいだと、そう思うことにした。

「どう、したんですか?」
 首をかしげて最後はそっと近づくと、谷口は恥ずかしそうに涙をぬぐって何でもないと言った。

まあ、そう言うよなと思いながら、工藤は優しく笑ってしゃがみ、谷口に笑って口を開く。
「まあ、そう言いますよね。男の子は」
「いや、だから本当に別に何でも」

 うわ、この筋肉達磨を滅茶苦茶可愛いと思ったと激しく自己嫌悪しながら、口を開く工藤。こんな身体になっても、やはりなんというか、最近幻滅しつつあるものの、工藤は女性こそが好きだった。
「はいはい。で、何があったんですか。教えてください」
「教えてどうするんだ」

 そこは工藤も考えていなかった。今から考えることにする。
「んー。一緒に、悩むとか」
「お前のような美人には分からん問題だ」
 すねてるすねてる、いかん、何この胸のしめつけ。手の上に顎を乗せる工藤。悪戯っぽい表情。
「あら、私のことを一応は評価しているんですね」
「俺も男だ」
「ええ、良く分かります」
「反省している俺をからかってそんなに面白いか?」

面白い面白い。と思いながら、優しく笑う工藤。からかおうかなと考える。

「でも私のスカートの下に興味があるんだったら、もう少しまっすぐ見ないと駄目だと思いますよ」
「見ないようにしてるんだ。馬鹿」

 目を細める工藤。
「どこがバカなんですかー」
「もっと自分を大事にしろと言っている」
 工藤は突然立ち上がった。微笑んで口を開く。
得意げに谷口を見下すのがこんなに楽しいとは思わなかった。こりゃまるで悪い奴だなあと思う工藤。そろそろ赦してやるかと口を開く。
「隊長のことですか?」
「ち、違う」
「バレバレなんです」
「ほ、本当にだな」
「押し倒しちゃえばいいじゃないですか」
「出来るか!」
「相手は望んでるかも」
 谷口は目をそらした。押し倒すはともかくとして、まあその、いや、駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ。悪いことするにもほどがある。

「望んでいても、駄目なものは絶対駄目だ」
「えー。いつの考えなんですか。古すぎます」
「古いものでもいいものはいい」

 工藤は、きっと谷口は小さいに違いないと思った。全然違うかも知れないが。
よし、手伝ってやろうと工藤は思う。サイズが戦いの全てでないことを教えてやる。

「自信がないなら、練習台になってあげましょうか?」
谷口の顔が、爆発した。

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