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zoom RSS NOTボーナス 緑の章(23) 白の章 Aの魔法陣

<<   作成日時 : 2006/03/31 08:24   >>

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 工藤は、夢を見ていた。
馬に乗った谷口が現れて、自分を抱いて幻獣の群の中を疾走している。

 工藤はその背に咲良が抱きついてないのだけが残念で、それが夢だと分かっていたが、嬉しさで、泣いた。

谷口が笑っていたからだ。
もう二度と見ることはないと思っていた、まろやかな笑みだった。

白いシーツに包まれた工藤は、金髪をシーツに零して広げて、泣きながら眠っている。

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 工藤の夢の中で日めくりカレンダーがあざやかに戻って行く。

 どこか間抜けな緑色の制服に、工藤は袖を通している。ヒールの高い靴なんてはけなくて、それで工藤は、背が少し低めだと、気にしていた。

 横山と谷口がデートしたという情報が写真付で岩崎と竹内からもたされた時、工藤は、谷口が一気に嫌いになった。嫌いというよりも、腹が立ったと言って良い。
 お前にやるぐらいなら俺が咲良をもらう。というか、お前には絶対にやらん。である。

 谷口、あの浮気者。

浮気という概念も分かってないであろう咲良のため、工藤は怒った。それはもう、涙目になるくらい。
大勢が息を飲む中で大股で、がに股で、力強く歩き、息を大きく吸って、谷口の首筋を掴む。手ん前ぇと言ったところで、鼻をぶつけた。赤くなった鼻に手を当てているところで、谷口に抱かれて、頬も赤くした。こんな気分には、まだ慣れない。
屋上まで連れてこられる。

「何すんだバカ!」
「ばれるぞ」
 工藤はしまったという顔をする。ため息をつく谷口。
「玉の輿に乗るんだろう。それぐらい注意しろ」
バカにバカにされることほど悔しい事もない。工藤も、そうだった。怒った。 顔を近づけて唾が谷口にぶつかるまま、わめいた。暴れた。
「そんなことよりお前の方だ。この浮気者、変態、女の敵!」
「……なんのことだ」
 一気に言い過ぎて息切れした工藤は10秒まって、ようやくにして口を開いた。
「横山!」
谷口は、静かだった。淡々と返した。
「俺は誰とも、その、そういう意味でつきあったことはない。変態でもないし、女の敵でもない」
「隊長は、咲良は!? お前は今までそんな気持ちで……」
谷口は、我慢に失敗した。泣きそうな顔で工藤を見た。
「そっちのほうが、ずっと変態で女の敵だ。あの人は、幼い。分かるだろう。俺の好きとは違う」
「でも」視線に貫かれる工藤。
谷口は両手で顔を隠して、泣いた。
「耐えられないんだ。あの人が俺に優しいのが。耐えられないんだ。俺があの人に優しくふるまうのが。どんなに好いても、頬に触れれば罪を感じる。抱き上げれば罪悪だ。冷たくすれば良心が俺を弾劾する。あの人が悲しめば、俺は死にたい」
「だからって横山とつき会うのか!!」
「横山はこんな俺を好きだと言ってくれたんだ」
工藤は思いっきり谷口を殴り倒した。
「お前は良心や周囲が気になるからって二人の女を不幸にする気か!?」
 工藤はそう言って金髪のかつらを取って床に叩きつけた。自分が周囲をだましてやっていたことが谷口のやっていたことと同じと気づいて吐きそうになったが、それでも工藤は言った。
「良心や周囲がなんだ。それは咲良や横山より大事なものなのか。答えろ!谷口!! お前が本当に大事なものはなんだ!!」

工藤の問いに谷口はつきぬ涙を流して言った。
「あの人に決まっているだろう。咲良、咲良、咲良。石田咲良、寝ても覚めても、俺が考えるのはあの人のことだ」
「じゃあ戦えよ、このバカ野郎。世間がどうした、好きだと言う心を偽る良心のほうが間違ってるといいやがれ、戦え! お前一人を戦わせるようなことは俺はしねえ。今から素っ裸で学校中走ってやる!」
「ば、馬鹿やめろ!」
 勢いよくボタンを引きちぎってシャツを脱いだ工藤に、谷口が抱きついた。時が止まる。

工藤は谷口にすがって大泣きして、谷口も泣いた。
それから二人は、親友になった。

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