NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(20)

 一方そのころ。病院玄関は動物兵器の一撃で制圧されていた。
戦闘腕を広げた雷電が周囲の患者と看護学校の生徒たちを威圧しながらゆっくりと歩いている。
隣には、拳銃を片手に怪しそうなあたりを指さす黒髪の美少女がいる。紅だった。

「バルト! しばむらを探せ!」
バルトが命令に応じて吠えた瞬間、何名もの看護士たちが卒倒した。

 ドアを突き破るバルト。
英吏はちょうど、別れしなに斎藤の頭をなでていたところだった。
紅の表情が、変わった。

くるりと振り返って何もかも壊せと紅が命令し終わる前に、英吏は紅の手をひっぱって、命令中止、バルト、と言った。
悩み深そうになんで?と顔を寄せるバルト。紅がその喉に触れると、ゴロゴロと言って尻尾を振った。

「しば……むら」
「紅」

 英吏は、斎藤を見てそなたに幸運をと言うと、紅に帰るぞと言って歩きだした。
紅と英吏は、歩きだす。バルトもついてきた。
今度から戦闘以外での雷電持ち出しは全面禁止だなと英吏が思って歩いていると、紅が、口を開いた。

「……腕は?」
「さほど悪化せずにすんだ。箸をもつのは苦労しそうだがな」
「私、もつ?」
「そなたに食わせてもらうのか。いや、嬉しいが、やめておこう。そんなことをされたら俺は自分がもてるなどと間違ってしまう」
「それは、斎藤……好きだから?」
「斎藤が好きな男は……色々略すが俺ではないぞ」

英吏は眼鏡を外してそう口を開いた。
この人物、母の悲しそうな顔を年がら年中見ていたせいか、異母弟である傑吏(熊本武士)と同じく不幸そうな女性には極めて親切である。そして、母の面影から逃げるため、明るくよく笑う女こそを好みにしていた。

英吏は、紅の背を叩こうとして、やめて口を開いた。
「しまった。あの救助者の様態を聞き忘れたな」

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