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zoom RSS NOTボーナス ガンパレード・オーケストラ緑の章(18)

<<   作成日時 : 2006/03/27 22:38   >>

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15分後。

 神海那美は、斎藤が押す台車に乗せられて手足をあっちこっちに向けて運ばれて来た英吏を見て、一度気絶した後、叫びながら英吏に抱き着いてその首を前後に揺らした。

「英吏さん、英吏さん! 死んじゃ駄目です!」
「いいから首を揺らさんでくれ」
英吏はそう言った後で、涙ぐんだ神海とにこにこ笑う斎藤を見て、源以外には見せない笑顔を浮かべて見せた。見せた後で、しまったという顔をする。

「さっきまではかすり傷、今は軽傷くらいだ。すまんが薬と腕の固定を」
「私がやります!」

 元気な斎藤の声に切れたのは神海である。
「何を言ってるんですか!」
「ええっ!?」
「ええっじゃありません」
 眼鏡の上から涙を拭こうとして失敗し、声をうわずらせる神海。斎藤をにらむ。
「また、またこんなことして。この間は竜造寺君、今度は英吏さん……あなたって人は!!」

 英吏は竜造寺が数日前青い顔してふらふら歩いていた事実を思い出して心の中で合掌した後、神妙に口を開いた。

「神海。いいのだ。治療は斎藤に頼もうと思う」
自分で聞いても沈痛な声だった。輝くように悪魔というか斎藤が笑った気がしたが、彼はそれでも、己の決めた己の法を貫いた。

「いいんですか」
神海は英吏に翻意するように力を込めて言った。
英吏は笑った。
「そなたに感謝を。だが、芝村にも法がある」
「法、ですか」
うなずく英吏。そして傲慢にもほどがあるような事を言った。
「我らの決めた、我らの法だ。我らが従う、ただ一つの。我らには味方は少ない。誰でもない、我らのせいだ。だからそれゆえに、どこよりも誰よりも味方を手厚く保護する。たとえ何もかもが間違っていたとしても、我らの味方をしたというこの一点で、間違いは全てが帳消しされる。彼らは全てが正しかったと、我らが保証するのだ。我を味方するということはそれだけの価値がある。そのために芝村が死ぬのならば仕方がない。芝村を全うするとはそういうことだ」

どうでもいいが先程全力で逃げていた人と同一人物がこう言う事を言うから世の中というものはよく分からない。

 斎藤は、こらえきれずに声を立てて笑った。
「もー。たかがかすり傷くらいで、何を言ってるんですか。本当に英吏さんは、病院嫌いなんですねえ」
「今のは」
「はい? 神海さん今日は声がブラックですねえ」
「今のは」

今のは死に行く人の崇高な言葉じゃあ!と神海は斎藤の首をしめにかかり、英吏はあわててそれを止めることになった。

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