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zoom RSS 白いオーケストラ 12月17日朝

<<   作成日時 : 2006/03/02 16:18   >>

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 愛国心と人類愛は安上がりである。
昔5円で売っていたチョコの3分の1で、それはこれ以上ないほど盛大に燃え盛るからであった。

 戦車長小太刀右京は、雪原の中、日本陸軍の誇る理想の戦車長のようにハッチから顔を出して盛んに周囲視察をしていた。

 白い息を吐きながら、胸を張って堂々としている。誰も見てはいなかったが、大統領を前にした戦車隊のごとく小太刀は振る舞っており、実のところ部下もそうだった。
あとは定員から一名欠けている装填手さえいれば、完璧だ。

この事実から分かることは、品行方正になりたい軍人は保育園に行くと良い、である。

問題は、突然現れた理想の軍人の背景で牛の声がすることであった。

小太刀は、心底嫌そうな顔をした。後ろに目をやると、反芻する牛がいる。口を開く。
「おい、こいつはどうかならんのか」

 砲手、加納は精悍な顔付きで口を開く。
「ユリですか」
「ケイでもなんでもいいが、牛だ。なんで牛を連れているんだ」
「そりゃもちろん食うためですよ」
5秒考える小太刀。

「食うの?」 自分で聞いても悲痛な声だった。
「そりゃ折角捕まえたんですから」
「名前つけたのに?」
「名前ないと識別できんでしょうが」

腕を組んでうなだれる小太刀。よくよく考えて見れば加納が肉屋の伜だった事を思い出した。一貫生産していることが売りとか言っていたが、一貫の中に色々な工程があるのを思って、己の想像力の欠如について反省した。

<もう駄目だ 美青年も美少年もいやしねえ いるのはムキーのカモメだけ>

「何の歌ですか」
「俺の祖父は海軍士官でな。駆逐艦の艦長だったんだが」
「その孫がなんで戦車に?」

 小太刀は7秒黙った後、
「一応試験は受けた」
と本音を言った。

加納は黙った後、しかしまあ駆逐艦では保育園に慰問出来ませんからねと言った。

胸を張る小太刀。
「しかし今の俺は身も心も戦車兵だ」
背後で鳴く牛の声。

今日も、長くなりそうだった。

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