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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(33)

<<   作成日時 : 2006/02/27 13:58   >>

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 今日は臨時の休みということで、渡部愛梨沙は喜んで佐藤尚也を追いかけ回すつもりだった。
 あのイケズも、いつかは小学生の頃みたいに「ありさちゃん」と笑ってくれるかもしれないと、そう思っている。思っていると言ったら思っているのだった。

 が、しかし。

家に帰ればお父さんは朝の配達で豆腐を台なしにしたことを黙って怒っており、それで結局、渡部は店の手伝いをさせらることになっている。

 今はエプロンをつけて、ぶすーとしていた。
このため、店番なのに店番になってない。
それでも、お父さんは断固として娘に手伝いをさせている。
まるでそれこそが、戦時下における一番大切なことだと主張しているようであった。


 一方そのころ、たまにしか走らない電車から飛び降りて、小島航は横山と谷口を追っていた。
病院の方へ走っている。
谷口竜馬は必ず最短距離で一番近い病院へ行き、恐らく回復するまで大きな犬のように待っているはずだと、そう考える。走る。

 豆腐屋の店番、渡部愛梨沙が店の前の通りで見つけたのはそんな航であった。

 息を大きく吸って、大声をかける渡部。
「なにやってんのよ」
その声を無視して走りたかったが、航は律義にも足を止めて渡部を見た。王子と呼ばれる所以である。

 渡部より航は4歳年長であり、それゆえか、航から見ると渡部は大変背が低い。つい頭をなでたくなる大きさだねとは、前日谷口と話した内容である。

「ああ、ちょっとそこまで行こうと思ってたんだ。渡部さん」
 優しく笑って言う航に、もとより不機嫌な顔を、さらに不機嫌そうにする渡部。
 渡部、はっきりしないのが嫌いである。はっきりすれば、その結果はどうあれ、それはそれでありだと思う方でもある。佐藤を追っかけるたびに言葉の刃で惨殺されても彼女があきらめないのは、そういう理由による。曖昧に返事されていたら諦めているところだ。
渡部の世界観では、中途半端が一番いけないのであった。この当たりは頑固一徹の父と同じである。

「どこに行こうって言うのよ」
腰に手をあてて仁王立ちする渡部。小さくてかわいいのでつい笑ってしまう航。でも一番は隊長だよなと思いつつ、横山のことが気になった。なかなか航は航で、心配するものが多くて大変なのである。

「ちょっと病院にいこうと思って」
「走る元気があるならぁ、病院なんか行かないでもいいじゃない」
「ああ、いや僕が病気……」
 左腕にはめた多目的リングに受信。横山から。我生存、自力帰隊すのコール。
肩を落とす航。どうやら恐れていた一番の事態は解決したらしい。

その航を、心配そうに渡部が見ている。
「え、大丈夫?」
「ああ、うん。今病院にいく理由がなくなったところ」
「なにか、あったの?」
「いや、何もなかった。良かった」
航は、優しく笑ってみせた。どんな女もひきつけて拒絶する笑み。
渡部は、幼すぎたせいか、その笑みが通じなかった。
航に怒った。

「何へらへら笑ってるのよ」
「いや、別に」
「あーもうっ、はっきりしなさい!」

 娘の怒鳴り声で渡部の父と母が店の奥から出て来る。怒る娘と微笑む美少年のとりあわせに、なにか納得したように手を叩いた。 小学校をでてこっち、店の手伝いを嫌がる娘を心配していたのだった。

 航はなんで手を叩いたんだと思いながら、怒る渡部を説得にかかる。
「いいことがあったから笑っただけ。心配することがなかったから」
「前から気になってたけど、アンタの笑顔はそれだけじゃないのよ! だからちょぉぉぉムカツクの!!」
 渡部の怒りは昔の谷口や、冷笑する岩崎を思い出した。
理不尽だなと思いつつ、なるほど、そんなに付き合ってなくても、分かる人は分るんだなと笑う航。
つい我慢できずに、渡部の頭をなでた。 隊長にやるように。

隊長なら目をつぶって嬉しそうにするところだが渡部は違った。あれ。

渡部は顔を真っ赤にして、怒ったのだった。

 笑いながら首を傾げる航。
大外刈りをかけようとする渡部を正面から受け止めたところで渡部の母は新しい店員用のわたなべ豆腐店のエプロンを父に渡しており、父は娘のために娘と航を一緒に脇に挟んで、店の中に戻っていった。

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