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zoom RSS BALLS ボーナス クリサリスの休日(後編)

<<   作成日時 : 2006/02/23 19:04   >>

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「俺の妻は戦士でな」
クルスことクリサリス・ミルヒは、自分を囲むように環になって座る子供達に、ゆっくりと諭すように言った。
「強い戦士だ。確かに背は低いが、鷹が捕捉出来ないほど素早い。走る様は電光のよう、夜に叫ぶ様は雷鳴のようだ」

スイトピーは、怒って走るエノラと貴恵を思い浮かべた。そして小カトーを見た。
ウラル・カナンは怒っているノイを思った。
ノイは、ちょっと考えて、ウラルの耳を引っ張った。

遊びに来てクルスの膝の上に乗る猫のクララだけが、正しくニーギ・ゴージャルスブルーを思い描いた。
その髪の毛は猫のよう。その瞳は炎のよう。癖毛を気にする。なんとか可愛く笑おうとして失敗して照れ笑いする女。

クルスはクララの背をなでて微笑むと、話を続ける。
「俺のどこが気に入ったか分からんが、俺を好いてくれた。おかげで俺は、一人ではない」
やっぱり僕は正しいんだと急にマイケルが顔を紅潮させて力説をはじめ、恵とスイトピーに注意された。しょんぼりして座りなおすマイケル。クルスに元気を出せと言われて、元気になった。

笑うクルスは、恵にうなずき、お前もいると思念を送った。本当に嬉しそうにうなずく恵。
ウラル少年が、すぐに口を開いた。多くの少年少女が、沸いた。
「クルスはどこが好きになったの?」
「勇気だ」
 クルスはそう答える。場が静かになる。
目をつむり、精霊に呼びかけるように歌うクルス。アポロニアの精霊戦士。

ガンプオード ガンプシオネ・シオネオーマ サイ・カダヤ オーヴァス
 クルスは薄目を開き、翻訳して言った。どこか誇らしく。
「勇気は偉大なり。勇気こそは諸王の王なり その妻は希望なり。俺は勇気を娶り、俺は希望を得た」

スイトピーは想像力が無限にある。すごい想像をして口を開いた。
「希望号?」
「子供と言うには大きいだろ」
小カトーは現実的である。理想は高いが、足元も見えている。

 クルスは全ての子供達に満足して優しく首を横に振った。帽子を取って、背筋を伸ばして優しく言う。
「それはお前たちだ。俺は妻を得て、お前たちのいるここに来た。お前たちこそ俺の希望。いずれはどんな運命も打ち破る、俺の剣だ。俺の誇りはお前たちと過ごしたことだ」

 なんとも恥ずかしい言葉だったが、この人物が深みのある低い声で言えば、全て信じることが出来そうだった。少なくともこの場にいる子供達とアンド猫は、言葉を信じた。
小カトーはその言葉だけを胸に抱いて最後の戦いに向かうことになる。

 ノイ・アルトは、控えめに尋ねた。
「怖い人、ですか?」
「いや、可愛い奴だ。俺の前では。俺がそこを気に入っている」

 スイトピーとマイケルとノイが、一斉に黄色い声をあげて騒いだ。
小カトーとウラル少年は、照れた。

そうしてクルスは目を細め、虚空に心を飛ばすと、妻の姿を幻視した。
彼の妻は飛んでくるミサイルを蹴っ飛ばし、猫のように腹を立てている。

その肩に手を伸ばし、その手に彼女が無意識に手を触れ、そしてクルスは、微笑んだ。
幻視が途切れる。口を開く。

「さあ、お話は終わりだ。昼飯を食うぞ」
子供達はえーと言ったが、なんだいらんのかとクルスに言われて顔を見合わせ、結局クルスに並んで食堂にいくことにした。

一人取り残されたポイポイダーは寂しそうに竿を揺らした後、遠くで新作ダンス開発にいそしむ知恵者を見つめて、どうだ、釣りをしないか、知恵のある友よと、言った。

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