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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(30)

<<   作成日時 : 2006/02/22 15:22   >>

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 隊長からと言う空先生から終日休みの連絡が入ったのは、全員集合なって三分後である。
集合ご苦労様、訓練は万全ですという話だった。無論、そんなことを当の本人はしゃべってない。当人はただ谷口のことを考えていただけである。全ては空先生の工作であった。

 休みという言葉に、朝集合で頬を膨らませていた全員は、喜んだ。

「隊長にもいいところあるじゃなぁい」
と手を取り合って跳んで喜ぶ菅原乃絵留と渡部をよそに、工藤は全身包帯男になった野口を見ている。包帯は前日の一件のせいだった。

 なんだ、その格好はいやみかと目を細める工藤。口を開く。
「まだ生きてたのね」
「あいにくね」
 皮肉そうな口調で返す野口。正確には、普段はこんな感じである。
あとずさりするのがいやなので我慢して踏みとどまる工藤。
「てっきりあの……格好で来ると思ったわ」
「残念だが、趣味と仕事はわける主義なんだ」
 冷静、と言って良い口調の野口。包帯だらけでなければまあ格好良いで通じたかも知れぬ。
 目を細める工藤。
「どっちが……いや、いいわ。答えないでも」
「教えてもかまわないけどね」
「わたしが、気持ち悪くなりそうだから、いらない、と言ったの」
「そりゃ残念だ」
 ちっとも残念でない響きで背を向ける野口。歩き始める。
工藤がその背に声をかける。
「どこにいくの?」
「病院さ。きまっているだろ? 今日が休みでよかった」
野口はそう答えると、手をひらひらさせて歩いて行った。工藤が打ち抜いた肩から血が出ている。

十秒考えて、なんだあの口の利き方はと、はらわたを煮え繰り返らせる工藤。雪の積もった地面で、地団太を踏んだ。
「なによ、私が悪いって言うの?」

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「先輩、休みだそうですよ!!」
 青い目を輝かせて岩崎に話しかけたのは、竹内である。
「知ってるよ」
と短く返す岩崎。それではサービス不足と思ったか、けだるげに間を開けた後、盗聴器のイヤホンを、耳から抜いて口を開いた。
「なんと行っても僕は君の隣だ。君に聞こえる情報は、僕も聞こえていると思うけどね」
「いいニュースは何度聞いてもいいものですよ」
竹内という人物は、そういう人物である。岩崎は内心で君は本当にバカだなと思いながら、優しく笑って見せた。
「そうだね。竹内君。ありがとう」
「いえ、岩崎さんに喜んでもらえるなんて、僕嬉しいです」
にこにこ笑う竹内。目を細める岩崎、その笑顔がやけに気に食わなくて岩崎は口を開いた。

「ねえ、竹内君、僕は思うんだけど、ちょっと変だとかは思わないかい」
「なにが、ですか」
 にこにこしている竹内。今日はそうだ、壁うちをしようなどと考えている。
イライラを隠しながらしゃべる岩崎。
「例えばこの時間に召集がかかったことはない」
「思いかけない時間にやらないと、訓練にならないんじゃないですか」
 竹内の返事に、少し考える岩崎。
「なるほど、正論だ。でもなんで隊長、谷口くん、航くん、横山さんが来ていないんだい?」
「報告にいってくると言ってましたよ」
「あやしいとは、思わないかい?」

 竹内はため息をつくと、岩崎をいたわるように笑って見せた。
「岩崎さん、そんな風に疑ってかかると、なにもかも醜く見えちゃいますよ」
「世界は醜いものだよ。竹内君。醜くないものは世界で一つだけだ」
 岩崎は山口を思ってそう言った。
笑ってみせる竹内。岩崎は山口以外に求めてないタイプの笑顔を竹内から向けられて、内心殺意を覚える。そんな岩崎の感情を全部無視して、竹内は優しく言った。
「僕は岩崎さんが依怙地になっているだけだと思いますよ。そうだ、今日一緒に遊びましょう」
「いや、申し出はありがたいが、家で寝るよ」
 逃げるように歩き出す岩崎。
「どこの家ですか」
「これから考える」
 岩崎は吐き捨てるように言った。

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