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zoom RSS ネクストゲーム バレンタインプレゼント3 (工藤谷口)

<<   作成日時 : 2006/02/20 22:14   >>

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 自分でもあんまり高くないことを気にしている鼻を押さえて、ごめんなさいと言う工藤。
漆黒のコートを翻し、谷口は工藤の腕を優しくつかんで腕を引き寄せると工藤の鼻の頭を見た。
もはや工藤に向けて笑うことのない男は、どこか悲しい瞳の光を少しだけ和らげて口を開く。
どんなに悲しいことになっても、瞳の底の優しさだけは消えることは絶えてなかった。

「赤くなっている」
「申し訳ありません」

工藤の声をどう聞いたか、向けられるたびに工藤の心を麻のように乱すどこか悲しくて綺麗な瞳が、闇にふさがれた。

工藤の細い腕から手を離し、谷口は背を向ける。
「今度から、ゆっくり歩く。もう、あわてないでいい」

そうして歩き出した。

もう一生、この人は私と歩くときは自分のペースでは歩かないつもりだ。
後姿を追う工藤は泣きそうになりながら口を開く。

「歩くことくらい、ご自分の好きでもよろしいでしょう」
「なんのことだ」

工藤は谷口の前に回りこんで言った。
「あわせます。どんな無理をしても、私は竜馬様にあわせます」
笑おうとして、失敗する谷口。だからただ、やさしく口を開いた。
「ただの歩きだ。そんなことにむきになるなんて、お前は疲れているんじゃないか。……どうだ、休んでみるのは。おじさんのところで休むといい」

乱れた工藤の前髪に触れることもなく、谷口のその目が降ってくる雪を見上げた。祈るように口を開いた。
「思えば隊長も、俺と歩くときは良く苦労していた。……なんであの時ゆっくり歩いてやれなかったのかなぁ」

 工藤が知っている谷口は石田が疲れたというたびに抱き上げて歩いている。
この人は何を言っているんだろう、工藤は谷口にすがって滅茶苦茶にわめきたくなるのを我慢して、涙をのんだ。そんなことをすれば、この人は優しく私に長い長い休みを与える。すまなかったと、それだけを言って。

自らの心臓の上あたり、漆黒の上着を握りしめる工藤。この場にいない女を憎いと、そう思った。

「どうした? 工藤?」
「でも私は、あの人とは違います」
「そりゃそうだ。お前のほうが、ずっと美人だ」
言外にどんな美人を前にしても揺らぎようがないくらい一人を好いているニュアンスをこめて、谷口は優しく言った。
「だから元気をだせ」

工藤の目から、涙が出かけた。

ミサイルが着弾したのは、その時である。

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