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zoom RSS ネクストゲーム バレンタイン・プレゼント(石田谷口)

<<   作成日時 : 2006/02/15 15:55   >>

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 石田咲良は、病院のベッドから身を起こして窓の外を見ていた。
青空を切り取った窓に映った飛行機雲を、ずっと見ていた。

控えめなノック。

石田咲良は意識を取り戻す。日に日に頭の中にかかる靄を、一所懸命に払った。
顔を出したのは、鍛えすぎて一段細くなってしまった、谷口竜馬だった。
「あ、竜馬だ。竜馬っ」
「無茶をしていないでしょうね。隊長」

谷口竜馬は昔の名残か、優しい声でそう言った。
まったく似合わないかいがいしさでカーディガンを羽織らせ、癖のついた咲良の青い髪に触れて整えてやった。目をつぶって、なされるがままになる咲良。

 谷口竜馬はいつも発作的に湧き上がる咲良を抱きしめたくなる感情を抑えながら、優しく言った。

「無理は、本当に駄目ですよ」
「うん、私は無茶をしていない」
「良かった……なにか?」
 咲良は迷った後、口を開いた。これで、竜馬がもう二度と見舞いに来なくなっても、仕方がないと思った。
「私はもう、隊長じゃない」

 谷口竜馬は世界で一番優しく笑った。

「貴方はいつまでも私の隊長です。早く良くなってなってください」

咲良は、こう言う時どこを見ていいか分らない。
だから下を見て、顔をを赤くして

「うん」
と言った。

長い沈黙の時間が、流れる。窓の外では雪が、降り始める。

 竜馬は咲良が口を開くのを待った。
意識が途切れた咲良の上体が傾く。
竜馬に支えられ、それで目が覚めて咲良は横たわりながら口を開く。

「今日は、バレンタインデーなんだ」
「ええ。知っています」

 竜馬は少し笑った。もう遠い昔のような過去に見せたことがある。笑顔。
それが走って飛びついたときの顔だと思い出して、咲良の心が華やいだ。

「亜美にチョコレートを買って来てもらっているんだ」
「知っています」

 竜馬は毛布をかけてやりながら笑った。ポケットの中にはチョコが一つ、入っている。
シーツについた小さな染みに目をやり、あとで担当者を殴り殺してやろうと思う。

咲良は、竜馬の顔を見上げながら言った。
「チョコレートを貰うことの意味は、分かるの?」
 竜馬は優しく笑って言った。
「なんですか、それは」
 咲良は、少し考えて視線をそらした。
「分らないなら、いいんだ」
「はあ。しかしなんというか、隊長からチョコをもらったら、自分は嬉しいと思います」

 咲良は視線を戻した。
「どれくらい?」
「泣くくらい」
「悲しい?」
「いえ、だから嬉し泣きです。自分は……俺はそれだけで、青の厚志とも戦えます」
「泣かないなら、あげる」
「分りました。我慢します」

 背後から控えめなノック。

竜馬はすみませんと一言だけ許しを請うて咲良の頬に触れると、また来ます。と言って背を向けた。
 漆黒の制服がはためく。

/*/

ノックをしたのは、工藤百華だった。同じく漆黒の、男物の制服を着ている。

「申し訳ありません、竜馬様」
「いや、かまわん」

 竜馬の顔から表情が消える。
今の、いつもの竜馬。

 工藤からさらに離れた場所に立つ金髪をラフに縛る眼鏡の男を見て、竜馬が口を開いた。
「一分一秒でも長く隊長を延命させろ」
「仰せの通りに」

 RSはうやうやしく頭を下げた。そうして笑顔を隠した。
竜馬がすれ違い、歩いていく。

竜馬が病院の玄関から出て階段を折り始めると、雪を肩にかぶった漆黒の制服の一団が一斉に敬礼を行った。

 その背後には平穏号が、巨大な剣を地面に突き立てて直立している。

 答礼をする竜馬。一斉に道が開かれる。
影のように現れた岩崎が、谷口に言った。
「また希望号改とやらが出たようです」
「何度出ても同じだ」


NEXT−GAME <白いオーケストラ>
勝利条件:谷口殺害

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