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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章外伝2(25)

<<   作成日時 : 2006/02/15 14:51   >>

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 工藤百華は、放課後になると決まって教室の片隅で絵を描いていた。
 その日も、そうである。

絵はいいと、工藤は思う。写真と違って嘘ばかりをかけるから。
 工藤が今描いているのは夏の草原を、一人の少年が駆けて行く図である。
 この少年が自分であることを、工藤だけが知っている。

 時間はもう夜の七時頃である。
一緒に絵を描くとか言いながら全然絵を描かずにまとわりついてくる上田もいなくなり、火を落としたストーブの熱も冷めて、一人寂しい状況だった。

 描きながら、何やってんだろうと思う工藤。
それでも手は止まらない。絵の中では、少年が絶対にこない明日を、信頼した目で見つめている。

 涙が出るかもしれない目を押さえ、工藤は自分で聞いても悩ましい声をあげてわざとらしい伸びをし、立ち上がった。

絵は、明日描きあげようと思った。

 もう誰もいないと思って、男らしく笑ってみようとも思ったが、やめた。もう二度と手に入らないものを嘆くのは、男らしくはない。

 大好きな伯父が教えてくれたこと。それは自分に非がないのなら胸を張ること。出稼ぎで日雇いでろくな仕事がなくても悪いことをしていない日は伯父さんは胸を張っていた。

俺は悪い事をしただろうか。いいや。

ならば工藤は胸を張って家に帰ろうと、背筋を伸ばし、長い髪を翻して颯爽と歩き始める。

 その足が、五歩で止まった。教室の片隅に積み上げられた絵の一枚に見られている気がしたのだった。

 ゆっくりと、もう一度暗い片隅を見やる。

暗がりに立て掛けられた絵が、にやりと白い歯を見せて笑った。
額が宙に浮く。

 暗闇から現れたもの、それは額だけを持って絵の振りをしていた野口だった。
工藤の髪が総毛立つ。

額を、傍らに置く野口。しなやかでけだるげな動きで工藤の前に立つ。全裸、だった。いや、靴下だけはつけている。

下がる工藤。 背が、教室の壁についた。

「へ、変態っ!」

白い歯を見せてうなずく野口。
音を立てぬ口だけが、YESYESYESと動いた。

「い、いやぁー!!」
絹を裂くような声で叫ぶ工藤。

 喜びの涙を流し、うなずく野口。

直後にドロップキックを食らって派手に地面に転がって椅子で滅多打ちにされた。
血が床に広がっていく。

 肩で息をしながらばらばらになった椅子から手を離す工藤。
顔は、青い。

「危なかった」

 工藤の声をききながら野口が血だるまになりながら笑った。
イィ。スゴク。イィ。

緩やかに立ち上がる野口。血の涙を流しながら、言った。

「おまえを、殺す」

 工藤、二歩下がる。
「私が何を!」
「俺とすれ違った時に、お前は火薬の匂いをかいだ」
「それだけで……」
「完璧主義なのだ。僕は。風呂に入る時は服を脱ぐ、血で汚れる場合は服を脱ぐ」
「変態……!」

 喜びの涙を流し、うなずく野口。
音を立てぬ口だけが、YESYESYESと動いた。

直後に顎に掌底食らって派手にぶっ飛んで壁にぶつかってずり落ちる野口。
その上で机で滅多打ちにされた。
血が床に広がっていく。

 工藤の荒い息をききながら野口が血だるまになりながら笑った。
口を開いた。

「なぜ俺が最強と言われるか知っているか」
「知らないわよそんなの」
「なぜなら俺が負けを絶対にみと」

 工藤はその手の指の先から光線を出して壁ごと野口を打ち抜いた。
そして、走って逃げた。

「くくく、あはははは」

 喜びの涙を流し、うなずく野口。
胸を貫かれたまま、爆笑する。そして野口を無敵の存在に押し上げる決定的な一言が口から放たれ出た。
「いいのか?それ以上やれば殺人罪になるぞ!」

音もない。
 遠くなる工藤にはたと気づいて走って追いかけながら叫ぶ野口。
「そうだ、逃げろ、そして泣き叫べ! そして俺に殺されろ!」

 廊下は行き止まり。工藤が、振り返る。
「諦めたか」
「……正当防衛」

 それがあったことに気づいて愕然とする野口。彼の無敵伝説が今崩壊する。

「いやまて、よーく考えろ」
「何を」
「世界平和」

工藤は輝く指を野口に向けた。恐怖にひきつった顔が怖い感じで笑っている。

「死ね、変態」

爆発。

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