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zoom RSS NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(24)

<<   作成日時 : 2006/02/13 23:05   >>

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 横山は、腰が抜けていた。
谷口に冷たい目で睨まれて、射竦められたのだった。
初めて見る、他人を寄せ付けない雰囲気。
初めて見る、本気の顔。

 実際は割烹着を着た上でのがるるるなので、はた目から見れば笑える方なのだったが、横山は、そんな部分は見ていなかった。

 自分では父親を除いて一番仲がいいと思っていた人物に睨まれて、悲しくて怖くて何もできなくて、それで腰が抜けたのだった。
 気が付けば雪の上が、暖かくなっていて、それで横山は顔を真っ赤にする。

 立とうと思って立てなくて、それで横山は四つん這いになって、どこかに行こうとした。


 どこに?

横山は考える。恥ずかしいここから逃げたかったが、谷口がどうしたのか、心配でもあった。
 谷口は咲良のいじわるに耐えかねて、ついに自暴自棄になったのかもしれない。
 そうも考えて、慄然とした。暴力に訴えて咲良をどうにかしようとしたら、谷口はどうにかできてしまう。

 この時の横山は、谷口が咲良を好いているかもしれないという岩崎の情報が嘘だったと思っている。
絶対嘘だ。なぜなら、好きだったら、絶対絶対その人が気になって、その人から目を離さないからだ。と、思っていた。自分がそうなんだから、間違いようがないと。

守ってやらなきゃ。守ってやらなきゃ。

 横山は腰が抜けたまま除雪された雪の上を這いながら谷口を追いかける。

確かにあの娘は、石田はカンに障る事を言う事もある。
でも、ひどい目にあわなきゃならないほどひどい娘でもないはずだと思った。それに谷口にひどいことはして欲しくない。できれば菅原や渡部あたりに馬鹿にされていても、ふと笑って配慮を示すような、そんな人でいて欲しかった。

不意に涙が出た。
くやしかった。もとより谷口に張り合っているのは完全に虚勢で自分が弱々で根性なしの意気地無しで何か口実がないと好きな人ともちゃんと喋れないと薄々知ってはいたが、それがはっきり分かって、涙がでるほどなさけないと思った。地を這って動く自分が悲しいと思った。

男らしくありたいと、そう思った。

/*/

 一方その頃。
谷口に抱き上げられている咲良は上機嫌である。
図鑑で見た大きな犬は触ったらこんな感じかなと思いつつ、抱きついて見たり、顔のあちこちをぺたぺたと触ったりした。

 顔を赤らめる谷口。
「谷口、なんで顔が熱いの?」
 咲良、新しい発見。制服で抱き着くよりパジャマで抱き着いた方が胸の先が気持ちがいい。腕に力をこめる咲良。
 首がしまったか、目を上に向ける谷口。
顔を赤らめたまま口を開く。

「眉毛を引っ張らないでください。抜けたらどうするんですか」
「私は気にしてない」
「自分が気にします。力いっぱい」

 話を聞いていた航が、爆笑した。パンを抱えて持ってくる。
器用に片手でパンを抱いて、そして咲良の癖毛になった青い髪に触れて微笑んだ。竜馬の眉毛は多すぎるから、少しくらい減ってもいいよと言う。おい待てと言う谷口。
咲良は、航に大きくうなずいて笑った。そして昨日谷口に避けられたのは、速度が足りなかったからだと結論づけた。
 軽症から普通になる。でも学校にいくせいでこの状態をやめるのがいやで、それで咲良は、やっぱり自分は軽症だと思った。
いや。もっといい方法があるかもしれない。

考えて口を開く咲良。足をぶらぶらさせながら下を見る。

「谷口、このまま学校に連れて行って。今日はずっとパジャマにする」
「駄目です。ちゃんと着替えてください。それと」
「でもこっちのほうがいいんだ。……それと?」

谷口は渋い顔。
「しまった。サンドイッチを忘れてしまいました」
 側の航が、笑って口を開く。咲良の鼻の頭に触った。
「それなら買ってあるよ」
「いや……それが、後でお前にも話しておかなければならんのだが、……ん?」

ふと目をやった谷口と這って歩いてきた横山の目があったのは、その時だった。

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