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zoom RSS NOTボーナストラック(8) Aの魔法陣ver3ファンタジー

<<   作成日時 : 2006/01/06 23:50   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

 配下の三千の盗賊たちの先頭に立ち、腕を組んで馬を走らせる盗賊団の首領雷王は、不敵に笑いを浮かべている。
 雷王の名は、僭称である。誰も王など名乗らぬので、自分が拾ってやったというところだ。
 誰もが雷王を恐怖した。地方政府の一つすら転覆させる武力があった。

「雷王様ぁ」
 モヒカンの男が馬を寄せてくる。
面倒くさそうに小指で耳をかっぽじっている雷王。片眉を動かす。
「あぁん?」

 モヒカンは口を開く。
「この先は王城ですぜ」
「へっ、面白ぇ、いっちょ、焼くか」
 盗賊であっても王は恐れる。多くの盗賊が、その言葉を聞いただけで震え上がった。
面白くなさそうに口笛を鳴らし、造作もなく雷神剣を振るってモヒカンを斬った。血を噴出して落馬するモヒカン。

場が静かになる。ゲラゲラ笑う雷王。

「王城ってやつには美女はいるか」
そう尋ねる雷王。一人が言った。
「すげえのがいるらしいですぜ。お姫様が」
「面白ぇ。そいつを拾いにいくか」

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「しかし、まさか一番すげえのが男だったとはねえ」

 母、腕を組んでうなずく。回想終了である。

「え、話が見えないんですけど」
 治療待ちで質問する陸に、頬を赤くする雷王。
「いや、でもどうしようもなく惚れちゃってねぇ、本当にどうしようもないから魔法の薬探してきたのさ」

 まだ話が読めない陸。

「どんな魔法の……薬ですか」
「女になるやつ」
「何に使うんですか」
「飲むに決まってるじゃないか」
「飲ませたんですか」
「いや、自分で飲んだ。男に惚れたんだから相手女にしても意味がないだろう」

”いじわるめがね”の母は元・父である。いや、この場合はなんというんだろう。素直に元・男と書くべきか。いやいや、それとも……。

そんなしょうもない考えを断ち切り、どおりで御堂母様は迫力あると思ったと頭をかかえる陸。
息子は冷静で、海美に治癒術を使って回復を待っている。

 目を覚ます海美。あわてて身を起こそうとして、”いじわるめがね”にとめられる。
こう言う時だけ優しいのはずるいと、海美はひるんだ。見られるのが恥ずかしい。横になったまま横を見た。

こういう、こういう1年に1回くらい優しい時があるから、海美の心は安らがない。
そして、あ、でも今年の分終わり? と、意味もなくへこんだ。次の新年までずいぶんあった。

「まだどこか、痛い?」

髪からのぞく、真っ赤になった海美の耳に触れて尋ねる”いじわるめがね”。内出血じゃないな。
ひゃぁ、と声をあげて、離れて身を護る海美。これが2年分だったらいやだ。

「涙が出るほど痛い?」
座ったまま、壁際においつめられてふるふる首を振る海美。涙ではなく、目が潤んでいただけである。膝を立てていたことに気づいて、あわてて座りなおす。今日は、ミニスカートだった。

そんなことを全然華麗にスルーしてそうか、なら良かったと立ち上がって背を向ける”いじわるめがね”。今年分だか2年分だか終了という感じだったので海美はあわてて”いじわるめがね”の腰に背中から抱きついた。
「だ、駄目」と言った。
 振り向く”いじわるめがね”
「なにが」
 お願いすればいい。昼間の冷たい”いじわるめがね”の声に屈しそうになりながら、海美はなんとかお願いに聞こえないように言った。
「あ、明日もそんな感じ希望」
 2秒まって手をふり解く”いじわるめがね”
「必要を感じない。帰るんだろ。送っていく」
 陸が振り向いた。
「あ、私も一緒に帰ります」

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