NOTボーナス ガンパレードオーケストラ白の章(9)

 石田咲良はピークを過ぎて人がいなくなった食堂で読書の最中である。目を大きく開けて熱心に本を読んでいた。
 どういう基準で蔵書をもっているのかさっぱり分からないが、とにかく本だけはたくさん持っている空先生に本を借りて、食堂で本を読むのが、このごろの彼女の日課である。

執務終了の楽しみであった。

今日借りたのは”世界のDOGS”と言う名前。今までにない大物だ。
でも図版が一杯入っているので、すごく速く読める。今日中に全部読んで先生に褒めてもらおうと思う咲良。

 いや、丸い子犬のページのところで手が止まる咲良。
小さな声でわぁと言って思わず写真の子犬に触ろうとしてしまう。何ページか読んで、また子犬のページにもどる。中々進まない。今日は褒められるのはやめようと思う咲良。

 傍には、にこにこしている小島航がいる。

読書の手を休めて航を見る咲良。
「何んで笑っているの?」
「なんでだろうね」

小島航自身も、実のところ良く分かっていない。
ただ読書して喜んだりなぜか本の中に手を伸ばそうとする咲良を見て、航は自然と笑っていた。観察する咲良から目をそらし、遠くの掲示物を見る。たぶんメニュー。口を開く。

「たぶん幸せだからかな」
「幸せって、なに?」
「実は僕にも良く分からない」

 咲良は質問魔である。分かるまで繰り返し質問するの常だったが、この日は違った、ページをめくったら大きな犬がいたのだ。何を喋っていたか、この時忘れた。思わず図鑑を抱きしめた。

 谷口の文句を言い合いながら食堂にやってきた菅原と渡部、吉田は、咲良の姿を見て見てすぐ逃げ出した。何あの顔とかいって笑いあったが、航は無視し、咲良には聞こえていたが、それどころではなかった。本を少し開けて、大きな犬を見直していた。

この本は厚さにたがわない、今までにない大物だ。

本の戦力評価を見直す咲良。初めてゴブリンを殺した模造記憶よりも嬉しい。

 もう一度大きな犬を見た。

仔細を観察する。首をかしげる。

「どうしたの?」
 航がたずねる。
じぃぃぃと本を見る咲良。一致率26%。驚きの顔で航を見る咲良。
口を開く。
「この犬、谷口に似ている」

航は、彼の知る全ての人間が見たら驚くほど爆笑した。

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