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zoom RSS ガンパレードオーケストラ白の章(19) 

<<   作成日時 : 2006/01/27 01:03   >>

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一方その頃。

 石田咲良は、学校に行きたくなかった。
布団の中で、丸くなり、猫と犬は仲が悪い、犬と猫は仲が悪いと、呪文のように繰り返している。
 眠れず、気持ちが悪い。目をつぶると、なぜだか目を開けたくなる。目を開けていると、開けていられなくなる。
昨日から食べれていないせいで、予定よりカロリーもビタミンもミネラルも大幅に不足している。

 どうしよう。重傷だ。でも指揮は取らなければならない。

咲良は重傷時を想定した戦闘マニュアルから対応法を検索。
重大なダメージを受けた場合の項目を適用して処理を開始した。

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 割烹着に三角頭巾という格好で不意に顔を上げる谷口。左手首に嵌められた多目的結晶を見る。指揮官の重傷、続いて指揮権委譲の信号と承認を求める表示が脳裏に展開される。
谷口の毛が総毛だった。

訳の分からないことを叫んで2秒で家の窓を叩き割って1秒で6階から飛び降りる。燃料不足のまま放置された乗用車の上に受け身を決めた。派手に潰れる自動車の上で痛みにうめいた後、その瞳に炎を湛えて起き上がり、裸足で雪の上を走り始めた。

 ただ謹厳実直たろうと、ただそれだけのために鍛えに鍛えた肉体は主人を裏切らず、6階からの落下を吸収して底無しの加速を開始した。
謹厳実直=慎み深く真面目であることへの谷口なりの回答は、鍛錬による最速と最大突破力の両立である。 彼の真面目は誓いを守るためなら例え不可能と正面決戦しても勝つことであった。そうでなければ彼はただ死ぬだけである。

 裸足の痛みは、忘れた。
足を跳ね上げ、大股という表現を越え、飛ぶように。口から妙な音を立てて息を吸い始める。
瞬く間に鋼のような筋肉の上に血管が浮かび上がった。莫大な容積を誇る心肺機能が筋細胞の隅々に酸素を潤沢に供給する。服が内側から裂け始める。髪が乱れる。
 全力で走れば走るよりも跳ぶようになる。一歩が5mを越えた。実家の手伝いで豆腐の配達をする渡部の自転車を追い越し、まだ速度をあげる。 うわぁと叫びながら電柱にぶつかる渡部。

狼の咆哮のような声をあげて、突進する列車の2秒前を三段飛びで飛んで踏み切りを渡り、橋を渡らずに河を飛び越え、ブロック塀を蹴り一撃で総倒しにして道を無視して直線最短距離の盛大なショートカットをはじめた。

蛮人谷口。眼鏡をかけて本を読もうと生徒活動をしていようと決してなくならないその異名。どれだけ常識と知識が溜まろうとその筋肉で鎧う魂をしばるには及ばない。彼はもっとも肝心な時には理性を景気良く捨てて動く男である。

20分の距離を2分で走りきる。

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 手袋をつけてもまだ寒い。
横山亜美はかれこれ30分ほど小島先生の家の前で、どう石田咲良に一緒に学校に行こうと切り出そうか、考えている。
 咲良の味方になることを決めたので、早速実行に移したのであった。

思えば、3年も一緒にいて自分のまあ、好意らしいものにまったく気づいていない谷口に、隊長のお守りを期待するほうが間違いだったと思う。
問題は急に態度を改めたことを、どう説明するかだ。

 よし、天気がいいからということにしよう。
握り拳を作ってそう考える横山。彼女もさして複雑なことは考えないタイプである。

盛大な風圧で顔をあげる。
目の前に飛んで来た人影に威圧されて尻餅をついた。

髪を乱した、谷口だった。

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